【高校野球神奈川大会】鳴りを潜めた「逆転の桐光」 失策、「流れが来ない」

【日大藤沢-桐光学園】

 <日大藤沢7-5桐光学園> 六回に追い付き、5点を勝ち越されても八回に2点差に迫り、最終回には長打が出れば…という場面まで演出した。粘りを見せた一方で、桐光学園の野呂雅之監督(58)はこう語った。

 「流れが一回もうちに来る感じがしなかった」

 守っては三回に適時失策。打っては五回まで三塁すら踏めない。もがいて試合を動かそうとしたのが、俊足の6番直井だ。二、五回と粘って四球を選び、盗塁を試みた。「相手ペースが続いていたので、何とか自分から変えようと」。しかし、いずれも憤死した。

 ライナーで走者が飛び出した併殺や、犠打失敗。最後は九回2死一、二塁から左前打で二走を突っ込ませ、本塁手前でアウトとなりゲームセット。無理をする場面ではなかったが…。

 過去20年で4度の優勝を含む15度の4強以上という安定した強さ、そして「逆転の桐光」の異名は、巧みな野球に源泉があったはずだ。2度の美技を見せた中堅鈴木は「大事なところでミスが出てしまったのが、大きな敗因」と振り返る。

 昨夏は決勝で涙をのみ、秋は3回戦で大敗した。「底力」をテーマに突き詰めてきた。「確かに劣勢の中であと一本というところまで持っていった。ただ負けてしまえば、底力はないに等しい」と野呂監督。桐光らしい野球が鳴りを潜めたのが、悔やまれる。

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