全国高校野球選手権長崎大会第11日 鎮西学院 主将と4番 夢つなぐ

【準決勝、長崎商―鎮西学院】3回裏鎮西学院2死三塁、諏訪原が右前に適時打を放つ=県営ビッグNスタジアム

 2年連続第1シードの長崎商を倒したノーシードの鎮西学院。ここまで打撃不振にあえいできた2人の主力のバットが、無印のチームを11年ぶりの決勝へ導いた。
 1点を追う三回1死満塁の場面。2番で主将の佐藤が打席に立った。ここまで4試合は11打数1安打。初戦以来、打てていない。「後輩たちに助けられてばかり。初球から思い切って」。握るバットに気持ちを込めた。
 ファウル、空振りに続いて3球目。外の真っすぐが来た。「きれいなヒットじゃなくてもいい。しぶといバッティングで塁に出る」。思いを乗せた打球は一塁を強襲。2人を生還させる逆転の内野安打となった。
 なおも2死二、三塁で打順が回ってきたのは、佐藤と同じように11打数2安打だった4番諏訪原。この日は、準々決勝までに敗退していた中学時代の仲間2人のバッティンググローブをつけて打席に向かった。「2人の思いに応えたい」。結果は二塁手の頭を越えるポテンヒット。初戦以来の打点を挙げた。
 「絶対に勝ちたい気持ち」を前面に出した主将、仲間の思いをぶつけた4番。この夏、最も大事な場面で出た2人の適時打は、チームの夢をつなぐ「一打」となった。
 1881年の学校創立以来、甲子園はまだ見ぬ舞台だ。その切符をつかむための大一番を前に、投のエース楠本同様、打の主力たちも勢いに乗ってきた。

© 株式会社長崎新聞社