ロッテ浮上へ足りないものは? OB小林雅英氏が分析「日本一のメンバーが…」

現役時代ロッテで活躍した小林雅英氏【写真:荒川祐史】

キャンプでは実戦を重視「全員が大人なら問題ありませんが…」

 昨季まで2年連続Bクラスに沈んでいるロッテ。今シーズンは27日現在借金4。シーズン前半には田村龍弘捕手、藤岡裕大内野手、角中勝也外野手が故障のため相次いで離脱し、7月20日には藤岡が肉離れのため再び登録を抹消された。今春のキャンプでは、期間を短縮して実戦を重視したメジャー流の調整を取り入れたが、ロッテでクローザーとして活躍し、昨年まで1軍投手コーチを務めていた小林雅英氏は、メジャーリーグのインディアンスでプレーした自身の経験も交え、選手たちがキャンプインまでに準備ができていたかが問題だと話す。

 MLBはメジャー契約の選手が40人。その中で、ベンチ入りメンバーのアクティブ・ロースターに入るのは25人で、残りの15人はマイナーの試合に出場する。25人に入る選手は、経験も豊富でキャンプに入るまでに各自で準備がしっかりできているという。

「日本は70人枠があり、1軍、2軍に分けるものの、みんな平等に野球ができる環境にあります。全員が大人なら問題ありませんが、その中にはルーキーもいますし、自分で調整する能力があるかというとそこまでではない。大地(鈴木)ら主力選手は今年結果も残してるし、調整できていると思いますが、できていない選手が少し難しいシーズンを送っているのではないかと思います。『キャンプでこれをやったから優勝する』という方法は無いので、監督の色があっていいと思います。ただ、コンディションの作り方や、準備の仕方を教育する必要はあるかもしれませんね」

 ロッテは2005年に日本一、2010年にはペナントレース3位からの下克上を果たし日本一に輝いたが、その後は優勝から遠ざかっている。小林氏は、この時にプレーしていた選手たちがチームから離れ、ロッテが強い時を見たり、経験している選手に話を聞いたりできないことも低迷している要因の一つではないかと話す。

他球団の選手と合同自主トレが可能も「僕の中ではありえない」

「自分が入団した時は小宮山さん、園川さん、藤田さんや黒木がいた。その人たちから色々なことを教えてもらいましたが、日本一になった時に中心でやっていた薮田や宏之(小林)、直行(清水)がみんな外に出て、メンバーがばらばらになった。それから、どういうことをやってゲームに携わっていたか、上手く繋げていく人がいなくなったように思います。毎年、投手力に苦しむ西武も、FAで涌井秀章投手、岸孝之投手、牧田和久投手、菊池雄星投手ら経験豊富な主力投手が流出していることが影響しているのではないでしょうか」

 また近年は球団の枠を超え、他球団の選手と合同自主トレを行う選手も多い。チームメート以外から技術などを吸収することも可能だが、小林氏は「僕の中ではありえない」と厳しい意見だ。

「他球団の選手は、シーズンで対戦するライバルです。尊敬している選手のところに集まりますが、その人と同じことをやっていたら超えられません。それ以上のことを考えてやらないと超えることできない。仲が良いのは良いことかもしれませんが、勝負事には限度があると思います」

 小林氏は、1度チームが強くなるためには、育成に長い時間をかけていく必要があると考える。今シーズンは23歳の二木康太投手、22歳の岩下大輝投手、20歳の種市篤暉投手がローテーション入りしている。ロッテは若手投手の台頭で、次代に向けたいい流れを作っていくことはできるだろうか。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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