11言語に対応 窓口や学校、意思疎通円滑に 綾瀬市

綾瀬市が外国籍市民向けに本格導入した音声翻訳システム

 綾瀬市は、外国籍市民の窓口対応や学校現場での日本語指導などを円滑に進めるため、今春から11言語に対応する音声翻訳システムを本格導入している。タブレット端末に話し掛けると設定した言語に変換・表示される仕組みで、外国籍市民の割合が高い同市は全国の自治体に先駆けて実証実験に参加していた。外国人労働者の受け入れ拡大の新制度が始まり、多言語コミュニケーションへの支援の重みが増す中、その効果が注目される。

 「現場の教員が全ての言語に対応することはできず、これまで身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取っていたため、大変助かっている」。外国籍市民の増加に伴い、海外にルーツがある児童生徒が増えている学校現場でも音声翻訳システムが役立っていると、市企画課の担当者が明かす。

 市教育委員会は5月、国際教室が開設されている五つの小中学校などに専用の端末を追加配備。子どもたちへの生活指導や学習指導だけでなく、意思疎通が難しい保護者にも活用しているという。

 このシステムは、国立研究開発法人「情報通信研究機構」が凸版印刷に委託して開発。市は2017年11月~19年3月、全国の自治体で初となる実証実験を窓口で実施した。

 実験に当たって専用の端末7台を庁舎1、2階の子育てや保健などの担当窓口に配備。英語、ベトナム、中国、ハングル、タイ、フランス、インドネシアなど日本語を含めて11言語に対応しており、外国籍市民らとのやりとりに試行した。

 同課によると、実験終了に際して利用した12部署にアンケート調査した結果、約6割の部署が「窓口業務に役立っている」と評価。また、全ての部署が「継続利用を希望」と回答したため、4月からの本格導入を決めた。

 市内には49の国・地域出身の3868人(6月1日現在)が暮らしており、人口に占める比率も4.53%と県内自治体の中でも高く、日本語指導が必要な児童生徒も約150人いる。市が昨秋、市内の外国籍市民世帯を対象にした実態調査では、日常生活の悩みについて尋ねたところ「言葉が通じない」が28.1%で最多だった。

 市は現在、追加導入した学校現場も含めて端末14台を使用している。同課の担当者は「実証実験の結果が反映され、『給食時にアレルギーはありますか』などの学校関連の用語が充実した。外国籍市民へのサービス向上と職員の業務効率化が図られる」と話している。

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