「コールド」のリミッターが外された決勝。東海大相模の2年生スラッガー、山村と西川はスコアボードに目もくれず暴れ回った。
六回。主砲山村が2打席連発のアーチを架けたのは得意の右翼席だった。外角球をバットの先で引っ掛けた打球が高校通算38号ソロとなり歓声がどよめきに変わった。この試合チーム5本目。1試合最多タイとして大会史にタテジマの名を刻んだ。
2人がそろい踏みしたのは四回だ。山村は内角球をさばき、右翼ポール際に運ぶ3ラン。西川は弾丸ライナーを左翼席へ。通算42号2ランで左腕をのみ込んだ。2人合わせて大会7試合で5発29打点を誇った。
「フェンス越えちゃいました」「まじで?」。春先の打撃練習。山村の打球が学校のグラウンドで右翼の高さ約20メートルのフェンスを越えた。舌を巻いたのは、2015年夏の全国優勝チームで打撃投手を務めたOBの大木翔太郎さんだ。
教育実習の傍ら、放課後は後輩相手に白球を投じ、「山村は規格外。打撃練習であの柵を越えた選手は聞いたことがない。西川の力も(当時の4番)豊田並み。パワーなら当時の数段上」と太鼓判を押した。
神奈川で無敵の破壊力を示した通算80発コンビ。山村が「甲子園でも相手を圧倒する」と言い、西川も「攻め抜いて日本一になる」。底なしのパワーが、名門を令和初の全国頂点へと導く。