「劇団EXILE」 秋山真太郎 作家デビュー 日常から異世界へ

多様な20編 テーマに原爆、戦争も

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刊行記念サイン会で、自著について解説する秋山真太郎=長崎市尾上町、メトロ書店本店(アミュプラザ長崎3階)

 長崎市生まれで「劇団EXILE」のメンバー秋山真太郎(37)が、小説「一年で、一番君に遠い日。」(キノブックス、1836円)で作家デビューした。このほど、同市内で刊行記念サイン会を開催。自ら作品の朗読を披露するなど、会場に集まった多くの女性ファンらと触れ合った。
 県立長崎北高出身で、2009年から「劇団EXILE」メンバーとして舞台、映画を中心に俳優として活躍。近年は映画の脚本やプロデュースも手掛ける。
 16年、文学賞の「第1回ショートショート大賞」(キノブックス主催)でアンバサダーを務めたのが作家を目指すきっかけになった。試しに作品を応募したところ最終選考まで残った。「積極的に読書をしていなかったので、作品が評価されて驚いた。同時にもっと書いてみようと思った」
 昨年11月、書きためた作品を出版する話が本格化し作家デビュー。今回の新刊は、日本の昔話が複数ミックスされた表題作を始め、独自の感覚で文章表現に“色”を取り入れた「虹」などショートショート20編。日常から異世界へと境目なく続くストーリーを、さまざまなシチュエーションでつづった。秋山は「作品ごとに違ったアイデアを出したり文章表現を試行錯誤したりするのが大変だった」と執筆の苦労を振り返る。
 同書には、平和への思いを表現した作品も掲載。親友と過ごした青春の思い出が長崎原爆の悲劇と交錯する「110208091945」、出征兵士と帰還を待つ女性の悲恋を描く「風をさがしてる」の2編だ。創作した理由について「自分は被爆3世。祖母から原爆が落ちた瞬間の話を聞かされていた。長崎の小中学校で平和教育を受けて育った事も大きい」とし、「声高に世界平和を訴えるよりも、小説のストーリーの中で読者に思いを伝えるほうが自分らしい平和の発信方法だと思った」と話す。「風をさがしてる」は冒頭、「EXILE」のTAKAHIROによる手紙から始まる。「ナレーションから本編に入っていく映画のような手法を小説に取り入れたかった」と俳優の感性もにじませた。
 サイン会では「地元で作家デビューが報告できるなんて想像していなかった。たくさんの人に読んでもらいたい」とさわやかな笑顔を見せた。

秋山真太郎著「一年で、一番君に遠い日。」