米軍が新指針 限定核使用 被爆者怒り「恐ろしさ分かってない」

 米軍が戦闘中の限定的な核兵器使用を想定した新指針をまとめていたことが分かった28日、長崎の被爆者からは「核兵器の恐ろしさを分かっていない」と怒りの声が上がった。
 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長は「核戦争がひとたび起きれば勝者も敗者もない。人々が放射能の被害に苦しむだけだ。核の恐ろしさに関して米軍はあまりに素人同然だ」と批判。「世界的に核廃絶を巡る動きが活発化しており、焦りもあるのではないか」と指摘した。
 米軍が新指針の内部文書をホームページでいったん公開した後、非公開にしたことについて、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の吉田文彦センター長は「米国が核戦争の計画を本気でつくり、核依存を強めているという姿勢を示す意図があったのではないか」と推測。「危険な問題を政治ゲームに利用しているとすれば大きな問題だ」と述べた。

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