社説:日韓政府の対立 日本に出口戦略あるか

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 政府は韓国向け輸出規制を巡り、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている「ホワイト国」から韓国を除外する方針だ。

 すでに半導体素材3品目を優遇措置から外したが、ホワイト国からの除外で対象が大幅拡大する。

 韓国政府は電子部品や工作機械など「千品目以上」が対象になるとして、反発を強めている。

 両国経済は相互依存している。日本の措置は韓国だけでなく、日本経済にも悪影響を及ぼしかねない。対立をこれ以上深める措置は避けるべきだ。

 韓国に対するホワイト国指定は2004年からで、韓国へ輸出する企業は手続きの簡略化を受けている。

 指定から外れると、食品や木材などを除いた多くの品目で軍事転用の恐れがあるとされた場合、輸出企業は国の許可をその都度得る必要がある。

 日本から韓国への輸出がスムーズに進まない可能性が出てくる。半導体だけでなく、石油製品や自動車など、韓国経済を支える産業への影響は避けられまい。

 韓国政府は、日本の措置が元徴用工問題への報復で、自由貿易の原則に反するとして、世界貿易機関(WTO)の紛争処理委員会へ提訴する構えを見せている。韓国では日本製品の不買運動も起きている。

 一方、日本政府は24日のWTO一般理事会で、輸出規制はWTOが認めている、安全保障上の懸念に対する措置だと訴えた。

 しかし、日本は「懸念」を具体的に説明しなかった。半導体素材の輸出規制を打ち出した際には、安倍晋三首相や菅義偉官房長官が徴用工問題に言及していただけに、日本の主張を字句通り受け取る国は少ないのではないか。

 疑問なのは、安倍政権が明確な出口戦略を持っているようには思えないことだ。

 それどころか、河野太郎外相が駐日韓国大使に公開の場で強い不快感を示すなど、対立感をいっそう深めている。

 WTOの紛争処理委員会で日本が勝てる保障はない。どちらが勝利しても対立は深まったままになりかねない。

 もちろん韓国の対応にも重大な問題がある。貿易問題で国際機関に訴えるなら、徴用工問題でも第三国が関わる仲裁委員会の設置に応じるのが筋ではないか。

 日韓対立の隙を突くように、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射した。日韓が緊張を高めている場合ではない。 (京都新聞 2019年07月29日掲載)