「ダウンタウンを書くな」 僕が編集長だった時に吉本興業から受けた世にも不思議な抗議|久田将義

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吉本興業東京本社

28日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系列)において、ダウンタウン松本人志さんが「僕が岡本社長に記者会見をやれとかそういうことは言わない。既に会見の用意をしていた」と言った発言をされていました。

ダウンタウンや明石家さんまさんらに言われて、岡本昭彦社長が芸能史に残るグダグダ会見を行ったのかと思いきや、そうではなかったようです。ただ、僕は岡本社長が不機嫌そうに会見場に出てきた時に「やらされている感」が否めなかったわけです。

それほど吉本興業内における(少なくとも東京では)ダウンタウンの存在は計り知れないほど大きいものだったと思います。現在は番組内で「何でも聞いてください」と松本人志さんや東野幸治さんが、公言していますが基本、タレント達はこういうくだけたスタイルなのが本当でしょう。

が、現場のスタッフは違います。多分、タレント本人たちは知らないのでしょうが10年くらい前は、異様な気の遣い方でした。

僕も「ガキの使いやあらへんで」(日本テレビ系列)は「エビアン持ってきて」の回からはまり、「ごっつ」もDVDで借りて板尾課長で笑ったりもしました。

ダウンタウンの東京進出を支えていたのが大崎洋会長であり岡本昭彦マネージャー(当時)です。ダウンタウンファミリーというかダウンタウン利権と言ってもよいでしょう。ダウンタウン利権を守る為には、マネージャー、広報もかなり無茶をしていました。

今から約10年ほど前。松本人志さんが映画に進出したり、NHKの「ザ・プロフェッショナル」などで特集され、大御所としてのゆるぎないポジションを確保しつつある時期でした。

松本人志さん、浜田雅功さんは個別に番組を持ったり、独自の活動をしていたため、記者の一部には「ダウンタウンは解散するのでは」と囁かれていました。そこで若手芸人に聞くと、「そんな事はない」「解散して欲しくない」という声がありました。「さすがダウンタン。人望と人気は僕ら外の人間よりも内部の方が熱いんだな」と感心しました。その事を編集長を務めていた「実話ナックルズ」で記事にしました。

する吉本興業東京本社の広報室のトップに呼び出されました。それまで、僕は吉本興業とは、くっつかず離れずの関係で、芸能担当の取締役を紹介されたりもしました。その人に呼び出されるのではなく、広報から新宿の小学校跡の吉本興業東京本社に呼び出されたのです。

対応してくれたのは広報室のトップの方でした。ダウンタウンの元マネージャーでした。当該記事についての抗議でした。記事についての抗議だと、通常は「真実ではない」「名誉棄損にあたる」といったものが主ですが、この記事は「噂があったのは事実」だが、「結論はダウンタウンは若手から信頼されている」というものでした。名誉棄損でもありません。

その旨、広報室の担当にこんこんと言い聞かせたのですが、「それは理解している」そうです。が、「真実性も名誉棄損も関係ない。ダウンタウンの名前を出すのが良くないんだ」という返答でした。

これには僕も反応し、「書く自由を奪う発言ですよ、それは」と言いました。かなり粘ったのですがロボットのようにしか反応しないこの人と話してもしょうがないと思い、会社を後にしました。

まるで腫れものだ。

そう思いました。ダウンタウンを悪く書いたとして、それは広報が抗議かするのもアリでしょう。しかし、よく書くのもダメというのは聞いた事がありません。いわゆる「忖度」というものだなと、感じました。吉本興業社内におけるダウンタウンの存在がいかに大きいかを伺わせる現場に立ち合った訳です。

因みに対応した広報室の人はダウンタウンの元マネージャーだけあって「ガキ使」のDVDでその姿を垣間見られる事ができます。岡本社長(当時マネージャー)がブリーフで登場するシリーズです。すなわちその広報の方も岡本社長直属なのでしょう。当時は腹が痛いほど笑った「ガキ使」の「マネージャー岡本」シリーズですが、今見ても当時のように爆笑は出来ないでしょう。残念です。(文◎久田将義)