「あの日」を手記と写真で 追悼平和祈念館で展示 8月19日まで 平和推進協部会、10人分を克明に

被爆体験記に関連した写真に見入る来場者=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)で29日、「写真で見る被爆体験記」が始まった。同館に寄せられた被爆体験手記と、その内容に近い場所の写真を一緒に並べ、「あの日」を複合的に浮かび上がらせる狙い。8月19日まで。観覧無料。
 長崎平和推進協会写真資料調査部会主催。手記と写真を合わせて展示する取り組みは今回が初めて。10人の手記の内容に近い光景の約50枚を約3カ月間かけて選んだ。
 このうち、深堀好敏名誉部会長の手記には写真13枚が添えられた。16歳だった深堀さんは、原爆投下翌日に、おじの家があった坂本町に帰った。その際に見た山王神社近くの光景や、行動を共にしていた友人の家に行く途中に見た浦上天主堂の惨状の写真などが並ぶ。道のりを示した地図5枚も合わせて展示している。
 同部会は、写真展を前に深堀さんに航空写真などを示しながら聞き取りを重ね、被爆後の道のりを線で結ぶことができたという。
 29日あった開会式で松田斉部会長(63)は「当時の写真は状況を正確に記録しているが、人々の心情までをくみ取ることはできない。写真と手記を合わせて見ることで、被爆者が置かれた状況を想像し、核廃絶の訴えに思いをはせてほしい」と話した。

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