新海誠が純度100%で放つボーイ・ミーツ・ガール! 大人の階段から全力で飛び降りる『天気の子』が青春を加速する!!

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

東京に暮らす少年と飛騨の山奥で暮らす少女の身に起きた、謎の「入れ替わり」現象を軸に甘酸っぱい青春模様を美しいビジュアルで描き、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットを記録した『君の名は。』(2016年)から3年。2019年公開の新海誠監督の『天気の子』が、2021年1月3日 テレビ朝日系 特別番組で地上波初放送だ。

少女の正体は“100%の晴れ女”!? 新海誠が再び青春を加速する

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会もちろん美しい映像表現は大きな見どころだが、新海作品独特の語りに乗せて繰り広げられる少年と少女の甘酸っぱくて切ないドラマも本作の白眉。若者たちのあまりにも純粋すぎる葛藤は、観る者をあっという間に青春時代へと連れていってくれる。

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

高校1年生の森嶋帆高(声:醍醐虎汰朗)は離島での暮らしに閉塞感を覚え、東京へ家出してくる。そんな彼が手にしているのは、J・D・サリンジャーの名著『ライ麦畑でつかまえて』。超がつくほどベタなチョイスだが、心の中に眠っていた青春が再び芽吹いてしまいそうなアイテムだ。

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

帆高は厳しい東京生活を何とか生き抜き、偶然知り合った須賀圭介(声:小栗旬)の経営する小さなオカルト系雑誌の編集プロダクションで働きはじめる。そんなときに出会ったのが、どこか不思議な空気をまとった少女・天野陽菜(声:森七菜)。とある事情から幼い弟とともに大都会で生き抜いてきた陽菜は、帆高に自分の秘密を打ち明ける。なんと彼女は、祈るだけで雨を止めることができる“100%の晴れ女”だったのだ。

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

新海アニメの真骨頂! 思わず感嘆する“雨表現”に刮目せよ!

『君の名は。』で日本の山間風景を美しく緻密な描写で表現してみせた新海監督が新作の舞台に選んだのは、大都会・東京。異常気象によって常に雨が降り続いているという設定だが、監督の代名詞ともいえる緻密な風景描写は期待を裏切らない。鬱蒼としたコンクリートジャングルに降り注ぐ雨は、その一粒一粒がにおい立つかのような風情を湛えている。

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

描かれる建物も看板を含め実際の風景をしっかり再現していて、ファンならずとも「聖地巡礼」したくなること請け合い。東京で暮らす人ならば、美しくアニメ化された日常の光景にニヤリとするだろう。また、登場人物たちが手にするアイテムも現実世界に存在するものばかり。一瞬しか出てこない小ネタも満載なので、何度も観て細部を確認したくなってしまうはずだ。

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

普遍的なボーイ・ミーツ・ガールで描く“セカイ系”の一歩先の物語!?

本作は主人公とヒロインのある行為によって、世界の危機に直面してしまう“セカイ系”と表現される作品のひとつ。

疾走する少年少女の躍動感は、大人たちが“忘れかけた青春”を心に蘇らせてくれる。そして若い世代の観客は、主人公たちと同じように“大人への階段”を踏み出さなければならない。感情をコントロールすること、社会と向き合うこと、そんな自分を受け入れること……。

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

須賀は「大人になれよ、少年」と帆高を諭す。彼は、いつの間にか大人として振る舞うようになってしまったオトナ世代の観客の投影だろう。そんな須賀の言葉は、愛する人を思えば思うほど受け入れがたい現実として若者たちの前に立ちはだかる。

『天気の子』©2019「天気の子」製作委員会

個人の力では如何ともしがたい状況に、大人になることを求められた少年は最後に何を選択したのか? 賛否両論が巻き起こっている衝撃的な結末を、ぜひ劇場で確認してほしい。

『天気の子』は2021年1月3日 テレビ朝日系 特別番組で地上波初放送。

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