地域猫との共生 住民協力し不妊・去勢、屋内飼育・・・負担は限界「行政、最前線に立って」

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ワクチン接種や不妊・去勢手術を受け、屋内で生活する猫=仙台市宮城野区

 地域猫との共生を目指す取り組みがまた一つ、仙台市内で始まった。住民とボランティアが協力し、増えすぎた野良猫に不妊・去勢手術を施し、一部を屋内で飼育。新たな飼い主を探す。同様の活動は徐々に広がり、関係者の間から行政の積極的な支援を求める声も上がっている。

 民家やアパートが立ち並ぶ宮城野区の住宅街の一角。2階建ての住宅の一室に大小約10のゲージが並び、6匹の猫が飼育されている。いずれも元は野良猫だ。

 この家に住む女性(67)と長女(47)が朝晩、屋内で餌を与え、排せつ物を処理するなど世話に当たる。

 女性方の周りには以前、20匹近い野良猫が居着いていた。約10年前、野良猫に餌を与え始め、近所の猫が集まり繁殖したという。

 「あっという間に増え、どうしたらいいか分からなくなってしまった」と女性は振り返る。鳴き声や排せつ物が問題になり「餌を与えないでくれ。猫を保健所に連れて行くぞ」と苦情を言われたこともあった。

 ボランティアで野良猫の不妊・去勢手術などに当たる太白区の会社員佐藤美紀さん(55)との出会いが転機になった。

 猫との共生をテーマにした会合で知り合い、女性が実態を相談。お金を出し合うなどして5月中旬から、女性方周辺に集まる猫に順次、ワクチン接種や不妊・去勢手術を施した。飼育や餌やりも屋内に改めた。

 女性方では6月上旬、面倒を見ていた猫が後ろ脚を片方無くした状態で見つかった。「このままでは、いつ人の手でひどい目に遭う猫が出てもおかしくない」。佐藤さんらは身寄りのない猫を飼ってくれる人を探す活動にも力を注ぐ。

 地域猫活動に取り組み10年余。佐藤さんらが支援に当たる地域は少しずつ増えている。「人的、金銭的な負担は限界に近い。行政に最前線に立ってもらい、力を合わせたい」と佐藤さんは訴える。

[地域猫]不妊・去勢手術を施され、地域住民やボランティアらが餌やりや排せつ物の処理などの世話に当たる猫を指す。殺処分の減少や野良猫を巡る住民トラブルの解消、環境保全に有効とされる。仙台市内では複数のボランティアが住民と協力し、青葉区の複数箇所や宮城野、太白両区の一部で類似の活動をしている。仙台市議会は6月、地域猫活動の推進や、屋内飼育や終生飼育といった飼い主の努力義務などを盛り込んだ「人と猫との共生に関する条例」(2020年4月施行)を可決した。