夏の箱根宿泊予約15%減、町調査 火山活動活発化影響か

 箱根町が30日に発表した観光動向の調査結果によると、町内の宿泊施設では夏休みシーズンの予約状況が前年同期に比べ15%前後落ち込んでいることが明らかになった。箱根山(同町)の火山活動活発化に伴い、5月に噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられたままの状態が続いており、その影響が一因とみられる。

 宿泊業の宿泊人数実績は、5月は前年同月と変わらなかったものの、6月は3.6%減とわずかに減少。7月1日時点の予約状況は、前年同日時点と比べ7月が13.8%減、8月は17.0%減と落ち込んだ。ただ、直近で火山活動が活発化した2015年は同時期の宿泊予約が前年を4~5割程度下回っただけに、影響は限定されている。

 他の業種では、飲食業の売り上げが5月は5.1%減、6月が9.3%減。土産店などの物産業も5月が3.7%減、6月は7.8%減だった。観光施設業(美術館)の利用者数は5月が3.2%減、6月は4.4%減。一方、交通業(鉄道)の利用者数は5月が2.8%増、6月が0.3%増と前年を上回った。

 町観光課は宿泊業の落ち込みについて「大型連休の反動や消費税率引き上げを控えた消費活動の低迷などの要因が複合的に関連している」としつつ、「警戒レベル引き上げの影響も考えられる」と分析した。

 町内のあるホテルの支配人は「7月に入ってからは予約が増えてきたが、前年と比べるとまだまだ厳しい状況。せめて秋の行楽シーズンには火山活動が終息してほしい」と話している。

 箱根では「箱根強羅夏まつり大文字焼」(8月16日)など、夏のイベントが例年通り開催される予定。町は、立ち入り規制区域は大涌谷周辺のみであることを示し、「安心して旅を楽しんでいただくため、関係機関と連携し、正しい情報を発信する」としている。

 町は、噴火警戒レベル引き上げの影響で経営に支障が出ている町内の中小企業を対象に最大300万円を貸し出す緊急融資を7月から実施。22日時点で宿泊業者などから21件の申し込みがあったという。

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