<レスリング>「オレグ・カラワエフ国際大会」出場の男子グレコローマン・チームが帰国

金メダルの太田忍(左)と銀メダルの屋比久翔平(右=ともにALSOK)

 7月26~28日にベラルーシ・ミンスクで行われた世界レスリング連盟(UWW)のランキング大会、「オレグ・カラワエフ国際大会」に出場した男子グレコローマン・チームが7月30日、成田空港に帰国した。

 63kg級の太田忍(ALSOK)が優勝、77kg級の屋比久翔平(ALSOK)が2位で、あとはメダルに手が届かない成績だったが、松本慎吾監督(男子グレコローマン強化委員長=日体大教)は「取り組んできたことが形になってきた」と評価。本来より1階級上にもかかわらず優勝した太田には「世界を制する力はある。いい状況で世界選手権に臨めると思う」と期待した。

 屋比久と、3位決定戦まで進みながら敗れた87kg級の鶴田峻大(自衛隊)については、「ボタンの掛け違いで悪い展開となり、勝利を逃がした」と分析し、大きく劣っていたわけではないことを強調。ともに8月1日から、日本協会の遠征とは別にロシアへ向かって試合をする予定で、「国内外の練習と実戦の中で修正してほしい」と望んだ。

 期待の一番手でありながら、発熱で試合出場を断念した60kg級の文田健一郎(ミキハウス)には、取り組む姿勢への反省を求めるとともに、「2年前(の世界選手権で)に勝ったからといって、今回も勝てる甘い世界ではない。体調と体重管理をしっかりしてほしい」と話した。

決勝でアジア王者に圧勝の太田は「(相手は)弱い!」ときっぱり

 2月のハンガリー・グランプリに続いてランキング大会を制した太田は「強い選手がいなかったし…」と、勝って当然の第一声。決勝の相手は今年のアジア選手権60kg級優勝の選手だが、「弱い」ときっぱり。一時は5点のリードを奪われた準決勝のアイナグロフ(カザフスタン)戦は「ひとつ失敗しただけ。普通にやれば勝てる相手。バカやっちゃったな、と思って試合していました」と、余裕の試合であったことを強調した。

 出発前、「胴タックルを狙う」と口にしていたが、出てきたのは得意のがぶり返しが多かった。それでも「何度も試みました。足(への攻撃)とみなされましたが、アイナグロフにもいいタックルを決めました」と言う。「日体大の学生から取る方が難しいので、これからもしっかり練習します」と話した。

 「タスムラドフ(ウズベキスタン=昨年63kg級世界2位)とやりたかった。今回の大会では参考にならない」。世界選手権へ向けて気持ちは上向いているもよう。

発熱のため大会出場を断念した文田健一郎(ミキハウス)

 屋比久は「初日に4試合やって、2日目にも計量やって1試合。世界選手権と同じ流れの経験ができたのはよかったです」と、2日目まで残れたことのメリットを話した。決勝は自分の形を出せずに終わってしまい、「グラウンドをしっかり守り、後半に勝負をかける勝ちパターンを徹底的に練習するとともに、最初からとばして先にグラウンドで攻撃できるようにしたい」と反省した。

 準決勝までの4試合はいずれも6分間闘っての勝利。「テクニカルフォールにもっていけた試合もあった。これも反省材料です」と話し、“省エネ試合”をすることも課題のようだ。「自分の勝ちパターンが見えてきた大会でした。ひとつの自信にはなりました」と振り返った。

 一方、熱で試合を棄権した文田は「この大会がメーンではないので、棄権させてもらいました」と言う。試合までの他国との合同練習の期間中は大丈夫だったそうだが、体重の落ち方が悪く、急激な減量も体調不良、そして発熱につながったようだ。「まだ当日計量に対応し切れていないことは感じます。世界選手権の前でよかった、と考えるようにします」と、反省しきりだった。

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