西武今井、先輩左腕から学んだ“非完璧主義” 「無理をして治すというよりも」

西武・今井達也【写真:荒川祐史】

榎田からの助言は「完璧を求めすぎない」、30日ホークス戦では6回2失点で6勝目

■西武 5-2 ソフトバンク(30日・メットライフ)

 西武の今井達也投手が30日のソフトバンク戦(メットライフ)に先発し、6回3安打2失点の好投で6勝目を挙げた。

 6月18日の中日戦(ナゴヤドーム)で5勝目を挙げてから約1か月以上白星から遠ざかっていた今井。この日はMAX153キロの直球と緩急をつけたピッチングで凡打の山を築いた。4回に長谷川の二ゴロの間に1点先制を許したが、直後に森のタイムリーなどで3点を奪い逆転に成功。

 ここ数試合は味方が援護した直後に失点するケースが目立っていたが「同じ失敗を繰り返さない」とギアを上げ、“鬼門”のイニングを無失点で乗り切った。6回には松田宣にソロを浴び1点差に迫られたが、踏ん張ってリードを守り切った。

 柔軟な発想が勝ちを呼び込んだ。昨季11勝を挙げたベテラン左腕の榎田が5月上旬に1軍に昇格した際に、報道陣に対し発した言葉がヒントになった。「榎田さんが『完璧を求めすぎない』と話していたのを聞いた」という今井は、この言葉をきっかけに完璧主義を改めるようになった。

プレートの位置を一塁側に微修正

「全部ゼロで行こうという意識が力みになり、大量失点につながってしまっていた。7回を投げて1失点や2失点に抑えれば十分だと思う」

 その意識の表れの一つがプレートを踏む位置だ。これまでは直球がシュート回転して真ん中付近に入り痛打される悪癖もあったが「真ん中より内側に入れば打者もバットを内側から出さないといけない」とその回転を逆に活用。一塁側のプレートを踏むようにしたことで打者の芯を外し、打ち損じを誘った。「シーズン中に(悪い癖を)無理をして治すというよりも、活かしていかないと」と完璧に修正するよりも回転を活かす方針に切り替えた。この日は中5日ということもあり6回でマウンドを譲ったが、「(7回2失点でいいとは)そういうことなんだと分かってきました」と頷いた。

 5月下旬からはカード頭を任されているが「任されるようになってからなかなか勝てていなかった」と唇を噛んだ今井。それでも「小野コーチも期待してくださっているし、自分も頑張って応えていかないといけない。失敗を恐れずいろんなことに挑戦していきたい」と前を向く。逆転の発想でつかんだ勝利を足掛かりに、ここからまた白星を積み重ねていく。(安藤かなみ / Kanami Ando)

© 株式会社Creative2