【埼玉県知事選8月8日告示】新人対決で「投票率ワースト」の常連を脱出できる?

埼玉県知事選挙(以下、埼玉県知事選)は8月8日告示、同25日に投開票の日程で実施されます。先日、行われた第25回参議院議員通常選挙(以下、今回の参院選)では埼玉選挙区の議席が1つ増えるなど話題があったものの埼玉県内の投票率は46・48%と全国平均の48・80%を下回りました。今回の参院選の全国平均投票率は、1995年の参院選の44・52%に次ぐワースト2位でしたが、埼玉県の投票率は県の参院選の歴代投票率で過去3番目に低いものでした。

低投票率が続く埼玉県知事選。ワースト5のうち3つを占める

埼玉県は、全国の過去の知事選における投票率ワースト5のうち、ワースト1位(2011年=24.89%)、同3位(2015年=26・63%)、同5位(2007年=27・67%)と3回もランクインしています。統一地方選挙のタイミングで行われ投票率が見込める他の都道府県とは異なり、埼玉県知事選の時期が夏にずれている等で確かに条件が違いますが、それでも投票率が極端に低いのは過去の選挙が示しています。
現在の埼玉県知事は、4期目を務める上田清司氏です。2003年の知事選に衆議院議員(民主党所属)を辞職して無所属で出馬し当選。以後、2007年、2011年、2015年と知事選で当選を重ね、現在に至っています。ただ、2015年の立候補と当選に関しては、2004年の1期目に制定し施行した4期以上の多選を自粛する条例=埼玉県知事の在任期間に関する条例=を、自ら破って立候補し当選したことで、議会との対立も表立っていました。今回も、2018年に全国知事会の会長に選任されたことなどで、5期目への出馬が取りざたされましたが、6月15日に記者会見し、不出馬を表明しました。

記者会見やブログなどで知事選への立候補を表明しているのは7月29日現在で5人です。加えて、7月25日に埼玉県選挙管理委員会が行った立候補予定者の事前審査で、新たに2人が審査を済ませています。これにより立候補予定者は、表明している順に元不動産鑑定士の山口節生氏、前参議院議員の行田邦子氏、参議院議員の大野元裕氏、スポーツライターの青島健太氏、元会社員の桜井志津江氏、元高校教諭の武田信弘氏、医師の浜田聡氏の新人7人となっています。この中でも、前参議院議員の行田氏、現参議院議員の大野氏、元プロ野球選手でスポーツライターの青島氏の3氏を中心とした戦いになることが予想されています。

主な3候補の経歴は…?

行田氏は1965年9月8日、岩手県遠野市生まれの53歳、国際基督教大学教養学部卒。旭通信社や電通など約18年間、民間企業で勤務しました。2007年の参院選で埼玉選挙区から立候補し当選。2期目が満了しての埼玉県知事選への立候補となります。
大野氏は1963年11月12日、埼玉県川口市生まれの55歳、国際大学国際関係学科修士課程修了。中東とかかわりが深く、イラクやシリアの日本大使館で書記官などを歴任。2010年の参院選で埼玉選挙区から立候補し当選。防衛大臣政務官を務めるなどして現在2期目です。
青島氏は1958年4月7日、新潟県新潟市生まれの61歳、慶応義塾大学法学部政治科卒。東芝からプロ野球・ヤクルトに入団し、公式戦初打席で本塁打などの記録を残し5年で引退。豪州での日本語教師を経てスポーツライター、五輪キャスターなどを務めてきました。

行田氏は幹事長を務めていた希望の党を離党し無所属での出馬となります。国民民主党を離党して無所属で挑む大野氏には、国民民主党と立憲民主党の埼玉県連が支援する方針です。同じく無所属の青島氏には自民党と公明党が推薦を決めています。また上田知事は、今回、大野氏の応援に入ることを表明しています。上田知事は不出馬を表明した会見で「政治活動は続ける」としており、大野氏の知事選への立候補による自動失職に伴い行われる10月27日に予定される参議院議員補欠選挙(埼玉選挙区)への立候補も取り沙汰されています。

いずれにせよ、経歴や実績、話題に富んだ候補が並ぶ今回の埼玉県知事選。熱戦、混戦が予想され、埼玉県知事選が低投票率の常連を脱するきっかけになるかもしれません。

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