社説:経済見通し 認識甘いとの指摘ある

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 政府が、経済財政諮問会議で今後の経済見通しを示した。

 本年度の実質国内総生産(GDP)成長率は、プラス0.9%を見込んだ。1月に示した1.3%から、0.4ポイントも予測を下げたことになる。

 米中貿易摩擦によって、中国経済が減速している。日本の輸出に影響が出るのは、明らかだ。

 本年度の輸出は、1月時点の見通しでは3%増としていたが、今回は0.5%増とし、大幅に引き下げた。

 実質GDP、輸出とも、直近の経済動向を踏まえており、下方修正は現実的な判断ではある。

 今回の会議では、本年度と併せて2020年度の予測も、初めて示した。

 こちらは、実質GDPがプラス1.2%に回復するという。

 消費増税対策の効果で、個人消費は底堅く推移し、国内の人手不足を解消するための設備投資も、勢いを維持する。

 今年後半からは、中国政府の景気刺激策が功を奏し、世界のIT需要も底打ちする。輸出は回復傾向となり、景気拡大が実現するそうだ。

 実際に、政府の読み通りになれば、国民生活にもよい影響をもたらすだろうが、あまりにも楽観的ではないか。

 国内の民間エコノミストの見通しを平均すると、本年度、20年度ともに0.5%の低成長を予測している。

 いくら対策を講じても、消費増税後に一定の消費落ち込みはあるはずで、米中貿易摩擦に解決のめどは立っていない。この予測は、うなずけるものだ。

 政府に先立って、国際通貨基金(IMF)も最新の経済見通しを発表した。

 今年の世界全体の実質経済成長率を3.2%とし、4月時点から0.1ポイント下方修正した。20年は3.5%に回復するとみながら、日本については0.4%に減速するとした。

 米中の摩擦に加え、英国の欧州連合離脱問題を景気下振れの要因に挙げている。利下げが予測される欧米の金利動向も、日本の輸出に不利な円高を呼びそうだ。

 これらを踏まえると、政府の経済見通しや、金融緩和の強化を見送った日銀に対しては、「認識が甘い」との指摘があろう。

 悲観論だけでは、実体経済の悪化につながる恐れもある。かといって、楽観的な判断ばかりでは、見通しへの信頼感が揺らぐ。