五輪候補選手と贅沢ヒルクライム!富士山チャレンジライド2019 in 御殿場・裾野 Ayakaのスタッフレポート!

来年の東京五輪に向けたテストイベント、 READY STEADY TOKYO 自転車競技ロード の翌日、7月22日(月)にもう一つ東京五輪ロードコースに関係するイベントが開催された。それが富士山チャレンジライド2019 in 御殿場・裾野だ。

このイベントに、当サイトの連載「 G’day, Australia!~ブリスベンからの自転車だより 」を寄稿していたAyakaさんが、スタッフとして参加。その模様をレポートしてもらった。

五輪テストイベント参加選手も多数出走!

G’day!お久しぶりです、Ayakaです。皆さん、元気に自転車、乗っていますか!?

オーストラリア留学からの帰国後、静岡県で英語教材編集者としての仕事の傍ら、Cycle Evangelistとして日豪を自転車ツーリズムでつなぐ宣伝活動に日々勤しんでいます!

さて、いよいよ2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まであと1年となりましたね!7月21日(日)には、オリンピック・ロードレース大会開催1年前のテストイベントとして、『READY STEADY TOKYO 自転車競技ロード』が開催されました。もちろん私も富士スピードウェイに応援に行きましたよ!その翌日7月22日(月)には選手と一般参加者が走る『富士山チャレンジライド2019 in 御殿場・裾野』が開催され、私は通訳&アシスタントMCとして携わらせていただきました。今回はその様子をスタッフ目線でレポートします!

大会には多数の招待選手が参加。海外招待チームとしてフランスナショナルチームが参加。前日のテストイベントでイタリア勢に次ぎ、見事3位に輝いたナンス・ピーターズ選手も出場しました。三島市に拠点を置くチームブリヂストンサイクリングを始め、国内外のコンチネンタルチームは全7チーム・約30名が出場。ブリヂストンの飯島誠監督もガイドライダーを務めるなど、トッププロと一般参加者の比率が他に類を見ない、なんともプレミアムなライドとなりました。

大会のメインは、オリンピック・ロードレースのコースになる、富士山麓区間、自動車専用有料道路『南富士エバーグリーンライン』(8.8km)を貸し切りで、それも五輪代表候補選手たちと走れること!前日のテストイベントではコース区間外だったため選手にとってはレースの一部を試走できる機会となり、一般参加者にとっては憧れのトッププロと走れる絶好のチャンスです。

東京からいらした田中さん。「土日は休めない仕事なので平日イベントはむしろありがたいんです!」
総勢85名の一般ライダーが参加
地元のスタッフたちも笑顔で参加者をお迎え!

パレードランにヒルクライムに盛りだくさんの3区間

富士山チャレンジライドのコースは大きく3区間。まず、記念式典に出席した選手たちは御殿場市陸上競技場を出発し富士サファリパーク駐車場までを約15kmをパレード走行します。一般参加者らは同駐車場で選手たちの到着を出迎え、オープニングセレモニーを開催し、そこから選手に続き順次、自動車専用道路『南富士エバーグリーンライン』で8.8kmのヒルクライム・タイム・トライアルを行います。TTの後はフジヤマスノーリゾートイエティで全員合流。選手たちとはそこで別れ、一般参加者はガイドライダーの先導にもとづくグループライドで、国道469号線を抜けて2カ所のエイドステーションをはさみ、富士サファリパーク駐車場までぐるっと回って戻って来る合計39.5km、獲得標高947mのコースとなっています。

御殿場市陸上競技場での来賓・選手セレモニーの様子
オリンピアンである飯島誠氏と鈴木光広氏が開催地域の首長らをパレードランでエスコート

初MC&通訳でいきなり仏代表に突撃!?

曇天の午前11時、富士サファリパーク駐車場にて15kmのパレード走行をフィニッシュする選手たちを迎えるセレモニーがスタート。メインMCはSBS静岡放送のナビゲーター山田門努(もんど)さん。バスケットボールが趣味という門努さんに、私もアシスタントMCとして自転車競技の魅力をお伝えしつつ盛り上げをお手伝い!会場直前の手前の坂から、先頭のフランス陣営の姿が現れると、和太鼓演奏のビートに合わせて皆の心拍も一気に上がるのが手に取るようにわかりました。

続いてコンチネンタルチームのパレードを大きな拍手と歓声が包み込みます。100人を超える参加者・スタッフが見守る中、私からはナンス・ピーターズ選手にインタビュー。「前日のテストイベントはなかなか峠がきつかったけど、今日は富士山を走れるのを楽しみにしてきたよ。日本に来ることになってやっぱり富士山のことを考えていたからね!」とトリコロールのフランス国旗をかかげながらにこやかに答えてくれてほっとしました。選手陣をAllez! Allez! の掛け声と共に送り出し、続いて85人の一般ライダーの皆さんを門努さんと全力で送り出しました!

SBS静岡放送の山田門努さんと。門努さん、初対面と思えぬ気さくさでトークも絡みやすかったです!
ナンス・ピーターズ選手へのインタビュー。世界のトッププロと話すのはいつもドキドキ!

雨の中の南富士エバーグリーンラインヒルクライム

最初の区間は南富士エバーグリーンラインのタイムトライアル。距離的には8.8km、勾配は6~7%なのでヤビツ峠(神奈川県秦野市・12km・平均勾配5.6%)に比べると、ビギナーのクライマーにも挑戦しやすい距離ですね!セレモニー後、MC門努さんの番組「Monday Mondy」用のコメント収録を終え、私も資材回収車のバンに同乗し最後尾から追いかけます……が、走り出した途端降り出した雨、雨、雨!(涙)スタート地点~料金所までの2km地点ですでに車のワイパーも最大にせねばならぬほどの視界を塞ぐ豪雨。「このまま続行して大丈夫かしら……」と不安に思っていると、料金所を過ぎた頃には曇り空に。富士山の雄大な姿をはっきりと拝むことができたので、きっとナンス選手も喜んだことでしょう。「この機会にSTRAVAでKOMを獲るぞ!」と意気込んでいたクライマー陣は雨も難なく快走。一方、ビギナー層はかなり縦に延びてしまいましたが、途中途中、選手たちが混ざり励ましてくれていました!世界遺産の富士山、普段は自転車で走れない自動車専用道路を貸し切りで、しかも五輪代表候補の選手たちと走れるなんてまさにプレミアムな体験です!

私はMC後、最後尾の資材回収車に同乗。雨模様で先行きが不安でした……
路面はウェットでしたが富士山の雄大な姿は望めました

安心の熟練ガイドライダーたちとダウンヒル

ヒルクライム区間を終えた選手と参加者たちはフジヤマスノーリゾートイエティの駐車場で一休み。スタート地点の標高890mから一気に標高1420mまで上がったので空気もだいぶひんやりとしています。駐車場にはチームカーがずらり!「ライドイベントでこんな景色見たことある!?」とTTを終えたばかりの一般ライダーたちも休憩そっちの気で興味津々。選手たちもサイクルジャージから着替えて、一般ライダーの写真撮影に応じるなど気さくに交流していました。チームブリヂストンサイクリングの橋本英也選手に感想を尋ねると「(パレード走行部分を含め)いやぁ濃い約24kmでしたね。特に後半の10kmは常に上りしかなくて。短い距離のわりには濃かったです(笑)雨が降ってしまいましたが、それでも暑いよりはいいかなと。日中しっかり走れますしね。」といつものエイヤスマイルで応えてくれました。南富士エバーグリーンラインはイエティにスキーをしに来る際車で走ったことはあるそう。「これだけでも十分ヒルクライム大会できそうなのに、オリンピックではコースの一部に過ぎないなんて、やはり相当過酷なコースなんじゃないかな」ともコメントしてくれました。

雨の中のヒルクライムお疲れ様でした!小田原のバイクショップ『サイクルデイズ』の仲間の皆さん
チームブリヂストンサイクリング近谷涼選手(左)、橋本英也選手(右)とイエティにて。7月27日栃木でのチームTTも優勝でしたね!

さて、選手たちとはここでお別れです。ここからはガイドライダー2〜3人につき6~7人の参加者で1グループ、全12グループで集団下山をします。ガイドライダーを担うのはNPO法人カケルバイク代表小野剣人さんにより招集された、静岡を中心とするベテランライダーたち28人(中には元選手・現役の実業団選手たちも……!)。

ガイドライダーの中にはJCA・JCGAのサイクリングガイドの資格を持っているライダーも複数いるので、個人の力量に応じたグループで雨でも安心・安全に下山することができます。ここからは私もバイクで参加!路面はかなりウェットでしたが、御殿場の自衛隊駐屯地の手前では頭上に生い茂る緑にヒグラシの声が聞こえた瞬間も。「これぞニッポンの夏ライドの風情!!」と盛り上がったのもつかの間、御殿場市街に出たとたん本降りに……(涙)

皆の安心・安全と楽しさをサポートするガイドライダーたち
ガイドライダーよるブリーフィングもしっかりと行われました
私もここからはガイドライダーを務めました!

まさかのハプニングこそ、スタッフの腕の見せ所!

一行は御殿場市陸上競技場のエイドステーションへ。一休みして残りの15km区間を走行する予定が雨脚はいっそう強まり、雷警報も出てしまったため、残念ながら大会はこの時点で中止の判断となりました。雨の中のダウンヒルで冷え切った身体、おまけに中止で、皆の気持ちしめっぽくなってしまう……。

しかし、ここがスタッフたちの腕の見せ所!裏方の運営陣は迅速に送迎用の大型観光バスを手配。参加者は一時バイクを陸上競技場トラックの屋根の下に置き、ライダー本人だけがマイカーを置いてあるスタート・ゴール地点に戻ることに(バイクは終了後にマイカーで各自回収)。

これ以上、皆の身体が雨に濡れて冷えないように、『サイクルデイズ』の佐々木亮店長はイナーメの『ジンジャーアロマジェル』をシェア。私も初めて使わせてもらいましたが、ジンジャーやレモングラスの爽やかな香りがして塗り込むだけで肌がじんわりと温まってきて感動しました!

「このレインジェルはアロマの香りでリラックス効果も期待できるのでおすすめです!」by佐々木店長

バスが来るまでは競技場の控室で皆で暖を取ることに。快く部屋を開けてくれた施設の方、皆のバイクを見守ってくださる施設の方々にも感謝しかありません。御殿場の人気ケーキ店アンドロワ・パレさんのブッセ「MOU」が振舞われ、ほおばりながらほっと一息。そこで「実はこの控室内に日本チャンピオンがいるんです!皆さんわかりますか!?」と声を発したのはの小野剣人さん。小野さんが主宰するNPOカケルバイクのメンバーであり、今回ガイドライダーを務めていた宮内佐季子さん、実はなんと2012年・2013年シクロクロス日本チャンピオン!プロのアドベンチャーレーサーでもある宮内さんに一同興奮!一気に撮影&握手会が始まり、バス待ちの40分もプレミアムな時間に変わったのでした。

奥様の誘いで自転車を始めて1年という谷内ご夫妻「坂では選手が待っていてくれ、一緒にゴールできました!」
元シクロクロス日本チャンピオンの宮内佐季子さんを囲んで記念撮影!
疲れた時は甘いものがうれしい!クリームチーズ入りのブッセをほおばる
温かい大型バスでスタート&ゴール会場まで送ってもらえて、皆ほっとした様子!

世界遺産・オリンピックの舞台、富士山の雄大さを実感したライド

スタッフ・参加者一同、大型バスでスタート・ゴール地点に戻り、記念品を受け取り大会は終了。悪天候で中断にもかかわらず、落車や大きなケガもなく、参加者の皆さんも笑顔で終わることができ、スタッフ一同心からほっと胸をなでおろした瞬間でした。

今回の仕掛け人、E-SPOの木部一さん(右端)彼なくして今回のイベントはありませんでした!

【富士山チャレンジライド2019 in 御殿場・裾野】

実行委員会:富士山南麓周回コースサイクリングイベント実行委員会
事務局:E-SPO(静岡県東部地域スポーツ産業振興協議会)
招待チーム:フランスナショナルチーム、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ、シマノ・レーシング、チームブリヂストンサイクリング、マトリックスパワータグ、チーム右京、宇都宮ブリッツェン、キナンサイクリングチーム
一般参加エントリー数:95名(出走85名)
走行距離:39.5km 最大標高差:947m

参加記念品にはオリンピックロードレースのコースマップパンフレットも

オリンピックまであと1年!静岡県から全力で盛り上げていきます!

東京オリンピックのロードレース開催は男子が開会式翌日の2020年7月25日(土)、女子が7月26日(日)の予定。静岡県はロードレースのコース、ゴール会場(富士スピードウェイ)の他、伊豆市でMTB(伊豆MTBコース)にトラック競技(伊豆ベロドローム)も開催され、一連の自転車競技の「メイン開催地」といっても過言ではないでしょう。私も普段はチームブリヂストンサイクリングが拠点を構える三島市にある教育企業に勤めていますが、ぜひ地元の人々にももっと自転車に親しんでほしい!という想いで、 NPOカケルバイク の一員としても活動することに。

9月21日(土)には 「ぐるっとぬまいち クロスバイク体験サイクリング」 にて、ガイドライダーを務めさせていただく予定です!(同イベント11日(水)の回は平塚吉光選手がガイドライダーです♪)頼もしい仲間たちと共に、静岡から全力で日本全国へ、そして世界へ向けて東京オリンピックを盛り上げていきたいと思います!

NPOカケルバイク代表 小野剣人さんが営むお店『チェレステカフェ』(沼津)は選手たちの間でも有名店

Profile:Ayaka

Writer, Cycle Evangelist。静岡県の教育会社に英語教材編集者として勤める傍ら、Cycle Evangelist として自転車の魅力を国内外へ伝えるべく活動中。

2017年にはオーストラリアのブリスベンに留学。大学院の傍らクイーンズランド州政府観光部、NPOバイシクルクイーンズランドでインターンを経験し、本メディアにも

『G’day, Australia!~ブリスベンからの自転車だより~』

を連載。”Connecting Japan and Australia through Cycle Tourism”(自転車ツーリズムを通じて日豪をつなぐ)をモットーに、B2GCこと

『ブリスベンtoゴールドコーストサイクルチャレンジ』

の日本プロモーションにも従事。2019年9月15日(日)の同大会にも参加予定。

© 株式会社八重洲出版