4000万円の住宅購入して教育費・老後資金を作りながら、親も援助できますか?

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皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、注文住宅を購入しようと検討中の32歳の会社員男性。教育費や老後資金をためながら、親の援助も必要になりそうで心配とのこと……

マイホーム購入して教育費・老後資金を作りながら、親も援助できますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、注文住宅を購入しようと検討中の32歳の会社員男性。教育費や老後資金を貯めながら、親の援助も必要になりそうで心配とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

しゅんトト45さん(仮名)

男性/会社員/32歳

関西/借家

家族構成

妻(会社員・34歳)、子ども(2歳)※第2子も数年内には希望

相談内容

住宅費用+諸費用にて4000万~4500万円の注文戸建て住宅を購入しようと検討中ですが、子ども2人分の教育費や老後資金を確保できるか心配です。35年ローンで組むため、定年までの完済を目指すなら2回は繰り上げ返済を行わなくてはいけないと考えていますが、教育費と繰り上げ返済用の貯蓄を並行して行えるかも不安です。

また、私の親は遠方に在中ですが定年以降も住宅ローンを支払っており、そのような姿を見ると自分も心配になります。マネーリテラシーが低く、お金のことは全て人まかせで、資金計画や老後のあり方についても無計画であるため、今までに200万円程度の援助を行っています。

そのため、自分たちの老後よりも親の老後のときにいろいろと出費がかさむのではと恐れています。ですので、子どもに迷惑をかけないように、自分たちの老後を過ごすための貯蓄方法もお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

家計収支データ

相談者「さとけん」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)住宅について

住宅購入の頭金は、1000万円を予定(一時的に生活防衛資金が減少するため投資信託を200万円ほど解約する)。

(2)加入保険について

・本人/生命保険(収入保障タイプ、60歳満了、年金月額10万円)=毎月の保険料2450円  

・本人/医療保険(終身タイプ、60日型、日額5000円、七疾病入院延長特約、終身手術給付保障特約、特定疾病一時金特約 50万円、先進医療特約)=毎月の保険料3414円

・本人/ガン保険(終身タイプ、ガン診断特約 50万円、ホルモン剤治療給付特約 50万円、入院給付特約 5000円)=毎月の保険料2388円

・本人/個人年金(5年ごと利差配当付、基本年金額48万円、年金支払10年)=毎月の保険料1万円

・妻/医療保険(終身タイプ、60日型、日額5000円、七疾病入院延長特約、終身手術給付保障特約、特定疾病一時金特約 50万円、先進医療特約)=毎月の保険料4432円

・妻/ガン保険(放射線治療給付金 月額15万円、抗がん剤・ホルモン剤治療給付金 月額15万円、ガン診断特約 50万円、ガン入院特約 日額5000円)=毎月の保険料2345円

(3)ボーナスの主な使い道

貯蓄60万円、投資信託購入費用40万円、冠婚葬祭用の予備費10万円、その他

(4)貯蓄について

貯蓄1300万円の内訳は、普通預金1100万円、定期預金200万円、子ども用口座130万円、自動積立にて毎月3万円を積み立て。児童手当は子ども用口座に適宜移動しています。

相談者本人が奨学金(一種)を毎月1万円返還中。4年後に返還終了のため、終了したら貯蓄に回す。毎月の支出と毎月の貯金10万円、奨学金返済分1万円、自動積み立て3万円を手取り収入(55万円)から差し引いたお金(約16万円)は、全額貯金扱いにしています。明確なお金の居場所を作っていないが、普通預金にどんどん貯まっている形となっている。

(5)投資の内訳

<本人>

・NISA:投資信託280万円

・iDeCo:投資信託10万円

・個別株:60万円

など

<妻>

・投資信託:23万円

・つみたてNISA:13万円

など

2人とも毎月積み立て投資をしている。

(6)勤めについて

退職金制度はある。退職金規定通りであれば本人2300万円程度、妻2000万円程度。60歳以降の再雇用制度もあるため、60歳以降も本人、妻もともに働く予定。

(7)家族について

妻はフルタイムで勤務。

実家については「現在のところ、弟(20代)が一緒に住んでいますが、給与が低いため、お金等の援助は特に行っていないようなので、介護が必要になった場合は私がお金の援助や肉体的な援助も行うことになるかと考えています。70代と60代の両親ですが、住宅ローンの残金が400万円程度残っているようであり、就労と年金をあわせながら支払いを続けています。そのため、医療保険や生命保険、防衛資金のようなものは準備できていないと聞いているため、そのあたりの費用も私のほうで出すべきなのかと不安もあります」(相談者コメント)

(8)子どもの教育について

相談者コメント「基本的には子どもは2人とも小中高と公立に通う予定です。大学・専門学校では医療系、文系でも、本人のやりたい道に進んでほしいと考えています。高校以降は一人暮らしも考慮して教育資金を貯蓄する計画。教育資金は児童手当2人分+毎月の積立3万円、投資信託積み立て2万円にて2人合わせて約1500万円程度が貯蓄できるよう考えています」

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:マイホーム購入は問題なし。30年返済にする

アドバイス2:数年以内に使う予定があるなら投資は控えめに

アドバイス3:実家に対する金銭援助は最終手段。順序を守って

アドバイス1:マイホーム購入は問題なし。30年返済にする

注文戸建て住宅を購入したいとのことですが、結論からいえば問題なく希望のマイホームを購入できると思います。

しゅんトト45さんは現在共働きで、お二人の収入を合わせると児童手当を抜きにしても月に55万円、支出が25万円程度、それに奨学金の返済が1万円あるので、残り29万円が貯蓄に回しているお金です。

これだけで年間348万円、それにボーナスから100万円貯蓄しているので、年間448万円貯金ができていることになります。

来年住宅を買うなら、どうなるでしょうか。これまでの貯蓄と投資の合計1720万円に1年分の貯蓄積み増し分を足すと、1年後には2168万円の資産になります。

ここから頭金1000万円、諸費用300万円使ったとしても800万円ぐらい貯金を残しておくことができます。4000万円の住宅を購入し、住宅ローンを3000万円借りたとすると、金利1.5%、30年返済で月々の返済額は10万3500円ぐらいになります。35年返済にすると月々の返済額は9万1900円ぐらいです。

しゅんトト45さんは35年返済と考えているようですが、30年返済で大丈夫。そうすると完済が63歳になりますがこれでいいと思います。今の住居費負担よりローン返済額のほうが2万4000円ぐらい増えますが、今、月々の収入から29万円も貯金していますから、その程度の支出増は全く問題ないでしょう。

数年内にもう1人子どもが欲しいと考えているようですが、子どもが生まれて奥さんが休職し、収入が減ったとしても、また仕事に復帰するつもりなら一時的な収入の減少は問題ないでしょう。

今後仮に月々の貯蓄額が15万円ぐらいに減ってしまったとしても、年間180万円、それにボーナスから半分程度を貯蓄に回せていれば、年間で240万円貯蓄できます。しゅんトト45さんは60歳まであと27、28年ありますから、仮にこのペースでお金を貯め続けたとしたら、定年を待たず25年後に貯蓄額が6000万円を突破します。

子どもが2人に増えて、それぞれ大学まで行かせたとしても、高校まで公立に進学させるつもりでいるなら、教育費は2人合わせても1500万円程度あれば足りるでしょう。これを支出したとしても4500万円のお金が残せます。

さらにご夫婦ともにしっかりと退職金がもらえる予定で、その額が二人合わせて4300万円ほどになるとのことなので、老後の資金準備も心配しなくて大丈夫です。親の援助も少しぐらいはできるでしょう。車をいずれ購入予定とのことですが、これも問題はありません。

アドバイス2:数年以内に使う予定があるなら投資は控えめに

投資のほうもがんばっていろいろとやっていて、それはとても良いことです。ですが、これから近いうちに住宅を購入したり、子どもをもう1人希望していて一時的に収入が減るかもしれない可能性を考えると、資産のバランスが少しリスク高めになりすぎています。今は現・預金を多めにしておいたほうがいいでしょう。

住宅購入時に投資信託を一部売って資金準備しようと考えているようですが、今のマーケット状況がこの先も続くとは限りません。ちょうどお金が必要な時期にマーケットが悪化していたら資金計画が狂ってしまいますので、今から少し現預金の割合を増やしておきましょう。

マイホームを購入し、子どもが生まれて奥さんが仕事を復帰する時期には、その後の新たな家計の状況がはっきりするでしょうから、そこからまた投資の割合を増やしていくといいのではないでしょうか。老後資金準備もそれで遅すぎることはありません。

途中で住宅ローンの繰り上げ返済もできますから、繰り上げ返済を行えば60歳までにマイホームのローンは余裕で完済するでしょう。そうすれば貯蓄ペースもますます上がるので、65歳になるころにはもしかしたら1億円近くの資産になっているかもしれませんね。

それくらいしっかりと資金の準備ができますから、ある程度お金が貯まったら、保険はやめても大丈夫です。保険はイザというときにカバーする資産が少ない人が少ない人が加入するのが基本ですから、しゅんトト45さんのように、保障のためのお金が十分に貯まったら必要なくなります。

終身で払い込む保険料は無駄になってしまうので、しっかり貯まった段階で保険は解約しましょう。貯金もできているし退職金ももらえるのだから、将来に対する過度の心配はいりません。

アドバイス3:実家に対する金銭援助は最終手段。順序を守って

ご両親に対する援助ですが、最初は肉体的な援助をやって、そのあとで必要なら経済的援助をという順番で考えたほうがいいですね。

援助を考える前に、親の年金や貯蓄、保険などの状況をもう一度確認したほうがいいでしょう。

まず自分たちのことをきちんと整えて、それから親の援助という順番は守ってください。援助する場合も最初からお金を渡すのではなく、別の形の援助ができないか考えて、そちらを優先しましょう。どうしてもお金が足りなくてほかに方法がないという状況になったら、最終手段として金銭的援助を考えましょう。

しゅんトト45さんはよく勉強されてて、無駄な支出もなくとてもきちんと家計管理ができています。趣味娯楽の支出がゼロというのはちょっと気になります。お子さんが小さいのでこれから少し増えるかもしれませんが、楽しんでお金を使うことも考えましょう。

相談者「しゅんトト45」さんから寄せられた感想

FP界の有名人である深野先生にお答えいただけるなんて、とても嬉しかったです。また、住宅を購入した上で、教育資金や老後資金の準備もできるとお答えいただき、夫婦ともに非常に嬉しく、安心しました。

今までいろいろと調べて勉強してきましたが『無駄な支出もなくとてもきちんと家計管理ができています』というお言葉をもらえて、やってきたことは無駄ではなかったのだなと自分を認めてあげたくなりました。実家の問題にも肉体援助から資金援助と順番を提示していただけたことで、実親との話し合いにも活用できそうです。

将来の不安に駆られて貯金・貯蓄へと励んだ日々でしたが、子どもが小さいうちにしかできないことにもお金をかけて、いろいろな体験をしていきたいと思います。家族仲良く、心も体も健康的に過ごしていきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。

教えてくれたのは……

深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/堀内玲子

(文:あるじゃん 編集部)