箱根山、活動長期化の恐れも 東海大ガス調査

噴気活動が続く大涌谷で行われた火山ガスの定点観測

 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)の箱根山(箱根町)で続く火山活動がわずかに活発化の兆しを見せていることが1日、東海大による火山ガスの定点観測で分かった。成分を分析した大場武教授は「活動はしばらく収まらないのではないか」と長期化する可能性を示唆した。

 大場教授が火山活動の盛衰を見極める指標としているのは、ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)の硫化水素(H2S)に対する比率。活動が高まっていく過程では、比率の数値が上昇することが分かっている。

 この日の観測では、大涌谷と付近の噴気地帯の両方で、7月の前回調査時と比べて数値が上昇。6月からほぼ横ばいで推移した7月の段階では、「活動がピークを迎えつつある」と判断していたが、今回再び活発化の傾向を示す結果となった。

 観測史上初の噴火に至った2015年の火山活動は数値の上昇ペースが速かった一方、比較的早期に終息に転じた。大場教授は「今回の活動は4年前とはパターンが違う。警戒レベルを3に引き上げるような状況ではないが、活動があまり低下しないまま続く可能性がある」と指摘した。

 気象庁が7月29日に発表した最新の火山情報によると、箱根山の活動は依然として活発な状態。火山性地震は増減を繰り返しながら発生し、大涌谷の噴気も盛んな状態が続いている。山体膨張の地殻変動も、鈍化が見られるのは一部にとどまるとして、引き続き小噴火への警戒を呼び掛けている。

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