【F1技術解説】レッドブル・ホンダの高温対策と、メルセデスが導入した翼端板のデフレクター

 F1第11戦ドイツGPで、今シーズン2勝目を飾ったレッドブル・ホンダ。彼らはドイツGPで高温対策を施していたが、ウエットコンディションでのレースとなったため、実際には使用されなかった。

 今回はそのレッドブル・ホンダの高温対策と、メルセデスが導入したフロントウイング翼端板の小さなデフレクターを解説する。

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(1)レッドブル・ホンダの『煙突』
 レッドブル・ホンダが第11戦ドイツGPに持ち込んだエンジンカウル上部を切り取ったチムニー(煙突)は、第2戦バーレーンGPで一度テストされたものだ。今回のドイツで再度試されたが、雨で気温が急激に下がった決勝レースではもちろん使われなかった。この解決策はメルセデスのアイデアを参考にしているが、彼ら自身は2018年から使用していない。

エンジンカウル上部を切り取ったチムニー(煙突)

 レッドブルは第10戦イギリスGPで、ノーズ下部のターニングベインの最初の1枚に形状変更を加えて、より広い面積にしていた(黄色、白矢印参照)。遅ればせながら、附記しておく。

ノーズ下部の形状変更

(2)メルセデスの翼端板

メルセデスのフロントウイング翼端板後端

 空力のインスピレーションを得たデザインは、下位チームの専売特許ではない。ドイツGPでのメルセデスのフロントウイング翼端板後端には、非常に小さなデフレクターが取り付けられていた(黄色矢印参照)。

 これはトロロッソ・ホンダが先鞭をつけ、のちにフェラーリが第8戦フランスGPで真似をし(青矢印参照)、今回さらにメルセデスが「インスピレーションを得た」。翼端板周囲に起きる渦流(ボーテックス)の発生を促進するのが、一番の狙いである。

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