千羽鶴作り10年、「ガラスのうさぎ」像に飾り付け

「ガラスのうさぎ」像に千羽鶴を飾る二宮高校の生徒ら=JR二宮駅前

 平和の尊さを後世に伝えようと、JR二宮駅前に立つ「ガラスのうさぎ」像に地元住民らが手作りした約6万羽の千羽鶴が1日、飾り付けられた。有志によって始められた千羽鶴作りは今年で10年目を迎え、飾り付けを手伝った高校生らは「戦火の悲劇を忘れてはいけない」と誓いを新たにした。

 二宮駅は児童書「ガラスのうさぎ」で作者の高木敏子さんの父が米軍機の機銃掃射で亡くなった舞台。2010年に平和団体メンバーらで始めた千羽鶴作りは町内外に活動の輪が広がる。

 この日は地元の県立二宮高校の生徒3人も飾り付け作業を手伝った。3年生の生徒(17)は80代の祖父母から戦時下の体験を聞き、「戦争は人の命を簡単に奪ってしまう。『ガラスのうさぎ』の悲しみがこれからも戦争を知らない世代に引き継がれてほしい」と訴えた。飾り作りを10年間続けた女性(85)は「10年は一つの節目。たとえ折り鶴の飾りが1本だけになっても活動は続けていかないといけない」と話した。

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