県内金融機関を評価 日銀副総裁・雨宮正佳氏インタビュー

 あまみや・まさよし 東京大経済学部卒業後、1979(昭和54)年に日本銀行入行。政策委員会室審議役、企画局長、理事などを経て2018年3月から現職。東京都出身、63歳。

 人口減少や少子高齢化が進み市場の縮小が懸念される本県経済。どのような将来が展望できるのか、2日に来県した日銀の雨宮正佳副総裁に聞いた。
 ー本県経済についてどんな情報を得ているか。
 「地元の皆さんに話を聞くと、業種や企業規模で差はあるが、景気は総じて緩やかな回復が続いているという意見が多かった。一方で少子高齢化や人口減少、若者の県外流出に直面しているとも話していた」
 ー4月の金融システムリポートでは、地方銀行の先行きを不安視していた。
 「低金利環境の長期化や人口減少に伴って収益力が低下している点は宮崎も例外ではないと思う。しかし、宮崎の金融機関は金を貸したり預金を運用したりするだけでなく、取引先企業の販路開拓のために他の企業を紹介するとか、IT化の手助けをするとか、課題解決に向けて力を入れている。こうした取り組みは私たちも応援したい」
 ー2%の物価上昇目標が達成できないでいる。
 「問題は複雑だ。根本的な要因はデフレが20年続いたので、賃金や物価がなかなか上がらないことを前提にした考え方や慣行が定着していることだろう」
 ー10月に消費税増税を控える。対策は考えているか。
 「引き上げ幅が前回は(5%から8%への)3%だったのが今回は2%。加えて軽減税率の導入、教育無償化などが実施されるので、家庭の負担は前回より小幅になるだろう。ただし、消費者マインド、雇用・賃金環境に左右されるので、注意深く見たい」
 ーキャッシュレス決済の普及は地方経済にどう影響するか。
 「取引、決済がより効率的で利便性が高まるので消費者にはプラスになるだろう。訪日外国人客(インバウンド)の取り込みにも役立つし、商店主の作業も軽減できる。データをうまく使うとマーケティングにも適用できるので全体的にプラス。ただし、安全性、情報管理の適切性には十分留意することが重要だ」
 (宮崎市の日銀宮崎事務所で)

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