INF廃棄条約失効 「核使用リスク高まる」 長崎県内被爆者ら

 米国とロシアの「中距離核戦力(INF)廃棄条約」が2日、失効したことを受け、県内の被爆者らからは「核兵器使用のリスクが高まる」と懸念の声が上がった。
 長崎原爆遺族会の本田魂会長(75)は「核軍縮の流れが一から出直しになってしまう。今まで積み重ねてきたものが台無しだ」と憤った。「米ロは互いに非難し合うのではなく、しっかり話し合ってほしい」と注文した。
 県被爆者手帳友愛会の永田直人会長(86)は「米ロの大統領は被爆地を訪れ、原爆の惨劇を知ってほしい」と求めた。特に米国に対し「最近は戦力を強化しているようにしか思えない」と苦言を呈した。
 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の中村桂子准教授は「愚行だ」と厳しく批判。「核兵器使用の敷居が低くなり、リスクが高まる。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議にも悪影響が出るのではないか」と懸念を示した。

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