「収蔵資料展」始まる 家庭の実相知らせる 原爆資料館

展示品に見入る来場者=長崎原爆資料館

 長崎市平野町の長崎原爆資料館に2018年7月から今年の6月までに寄贈された資料35点を公開する「収蔵資料展」が2日、同館で始まった。10月27日まで。見学無料。
 耐火れんがや当時の子どもの成績通知表、被爆体験を描いた絵画などが並ぶ。その中に岩川町で亡くなった千住タマさん=当時(57)=と17歳と13歳の娘の爆死証明書、生き残った次男哲夫さんの罹災(りさい)証明書がある。当時山口市に疎開していた長男正忠さん=当時(32)=が1945年9月、家族の安否確認のため長崎に来た時に取得したものとみられる。正忠さんは原爆についてあまり語らぬまま63年に死去している。同館の奥野正太郎学芸員によると、これらの証明書が一般家庭の被爆の実相を知る手掛かりになるという。
 また、同市出身の版画家故田川憲の版画や版木を展示する「田川憲-失われゆくものへのまなざし」も開催されている。
 長崎を初めて訪れた東京都三鷹市の鎌倉真奈さん(23)は「証明書などの被爆の実相をリアルに表すものと版画を見ることで、原爆についていろんな面から考えることができた」と感想を口にした。奥野学芸員は「被爆者のご遺族で資料をお持ちの方は気軽に相談してほしい。また、夏休み期間なので子どもたちにも原爆について考えるきっかけになれば」と話した。

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