仁田峠に輝く満天の星 「プレミアムナイト・夏の部」 開始当初からガイド 松尾さん、陰で支える

星空を楽しむ参加者=雲仙市、妙見岳駅展望台

 長崎県雲仙市の仁田峠を期間限定で夜間開放するバスツアー「雲仙仁田峠プレミアムナイト・夏の部」が2日、始まった。標高約1300メートルのロープウエー妙見岳駅展望台には、満天の星を楽しむツアー参加者を陰で支える多くのスタッフがいる。星空ガイドの松尾年朗さん(47)もその1人だ。
 同ツアーは、通常夜間通行が規制されている市道小浜仁田峠循環線を限定開放するイベントで2016年に始まり、春、夏、秋の年3回実施。「県内で最も高い場所」から見る星空と夜景に加え、夏は気温約20度の涼しさが魅力だ。
 同市小浜町で生まれ育ち、子どものころから星が好きだった松尾さん。本業は飲食店経営で、ツアーの開始当初から星空ガイドとして参加する。ツアー出発の約2時間前から、他のスタッフとともに計10キロ以上ある天体望遠鏡3台を担いで展望台に向かう。重労働だが、青から赤へ変化する空が疲れを癒やしてくれるという。「標高1300メートルから夕日を眺めることができるのは、スタッフの特権」と笑う。
 赤い空が夜闇に染まり、ツアー参加者を乗せたロープウエーが展望台に到着すると松尾さんの出番だ。ライトが消え、頭上には満天の星。「わあ、きれい」「すごい」。闇の中に歓声が響く。ライトで空を指しながら「天の川を挟む明るい星が織り姫のベガ、ひこ星のアルタイル」と解説。もう一つ明るい星を指し「はくちょう座のデネブ。これらをつなぐと夏の大三角形ですね」。星空の美しさに知的好奇心をプラスする。
 土星に照準を合わせた天体望遠鏡では、輪っかまではっきり見える。松尾さん自身、12歳の時に見た土星の美しさに魅了され、星好きになった。「ここは涼しいし、空気も澄んで星がはっきり見える最高の場所。プレミアムナイトを通じて星に興味を持ってもらえたらうれしい」。望遠鏡をのぞき、また歓声を上げる参加者の姿に目を細めた。
 
 ◆雲仙仁田峠プレミアムナイト 8月中の金、土、日、祝日(10、11日を除く)。午後7時半と同8時半の1日2便、定員は各40人。島鉄バス雲仙営業所発着。予約制で大人3千円、小学生1500円。予約はイベント公式ホームページか電話で当日午後5時まで。JTB長崎支店(電095.824.2400)、雲仙温泉観光協会(電0957.73.3434)。

夕暮れ時、天体望遠鏡をセッティングする松尾さん=雲仙市、妙見岳駅展望台

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