WRC:トヨタのトミ・マキネン代表、2台のアクシデントに「状況をしっかりとコントロールできたはず」

 WRC世界ラリー選手権第9戦フィンランドは8月3日、デイ3のSS12~19が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が前日の総合4番手から首位に浮上した一方、3番手につけていたクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)がアクシデントの影響でデイリタイアに。前日首位のヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)もアクシデントに見舞われて総合3番手に順位を落としている。

 前日のデイ2をワン・ツー・フォーで終えたトヨタは、“ホームラウンド”のラリー・フィンランドでの表彰台を独占を目指して、8本のSSが行われる競技3日目に挑んだ。

 総合首位でデイ3を迎えたラトバラはこの日最初のSS12で僚友タナクに首位の座を奪われるも、SS13で巻き返して再びトップに返り咲いた。しかし、続くSS14で右コーナーアウト側の岩にホイールを当ててしまい、左リヤタイヤのパンクチャーに見舞われてしまう。

 このアクシデントでタイムを失ったラトバラに代わって再びトップに立ったタナクは、出走順の不利がなくなったこともあり力強い走りを披露。8つのSS中3つでステージ優勝を果たし、2番手につけるエサペッカ・ラッピ(シトロエンC3 WRC)に対して約16秒のリードを持って最終日を迎えることとなった。

 一方、2番手で競技3日目に臨んだミークはSS14でラトバラと同じ岩にクルマをヒットさせてしまい、左リヤサスペンションを破損。走行不能となったことでデイリタイアを余儀なくされた。なお、チームはミークのクルマを修復しラリー2規定のもと、デイ4で再出走させる予定だ。

 パンクによって2番手に順位を下げたラトバラは「午後のステージはミスが許されない状況だと理解していたので、リスクを冒さず余裕のある走りを心がけた」というコメントのとおり確実性重視の走りに切り替え、タナクから28秒遅れの総合3番手でデイ3の走行を終えている。

「ここフィンランドで、今年もまた最高のリザルトに1歩近づくことができたので、全体的にはとても良い1日だったと思う」と語るのは、トミ・マキネン代表。

「今朝は、良い出走順でスタートしたオット(・タナク)が真の速さを見せてくれた。午後は総合2位につけるライバルチームの選手がとても速く、プレッシャーをかけ続けてきたので、攻めの走りを続ける必要があったが、オットには余裕があったと思う」

 同じ場所で起こった2台のアクシデントについては「今朝、始まってすぐクリス(・ミーク)とヤリ-マティ(・ラトバラ)に起きてしまった出来事は、もちろん残念だ」とコメント。

「彼らには速さがあったので、状況をしっかりとコントロールできたはずだ。ミスなく適切なスピードで最後までラリーを走り切ることが、ヤリ-マティの明日の課題になる」と発破をかけた。

■クリス・ミーク「予期せぬことに側溝に大きな石があり、本当に驚いた。デイリタイアは本当に残念」

クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)はラリー2規定に基づきデイ4から再出走を予定
総合首位につけるオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 首位で最終日を迎えることになったタナクは「朝はみんなが思い切り攻めていたので、競争は本当にし烈だった」とデイ3の戦いを振り返った。

「そのような状況で首位を争うライバルチームの選手に少し差を築くことができたのは、午後のステージで彼がとても速く、ついていくのが大変だったことを考えると、良かったと思う」

 そんなタナクとは対照的な結果となったミークは「高速右コーナーで、タイヤが道の外側にはみ出してしまった」とアクシデントの状況を説明した。

「通常ならそれほど大きな問題にはならなかったと思う。だけど、予期せぬことに側溝に大きな石があり、本当に驚いたよ。クルマを止めなければならなかったのは本当に残念だし、がっかりした」

 トヨタがワン・スリーで迎える4日のデイ4は、サービスパークの東側エリアで2本のグラベルステージを各2回走行するスケジュール。最終ステージのSS23“ルイヒマキ2”は、上位5台にボーナスポイントが与えられるパワーステージに設定されている。4本のSSの合計距離は45.74km、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は192.96kmだ。

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)は今戦を制すとラリー・フィンランド2連覇となる
ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)

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