“福”の神降臨!連投福山1失点完投で逆転残留!

この日も先発した福山。2日で計263球を投げきり、チームに貢献した=明治神宮球場で(中川達夫撮影)
福山と同じく、1年生ながらチームに貢献した林琢

東都大学野球春季1部2部入替戦対専修大3回戦が6月20日、明治神宮球場で行われた。結果とメンバー(駒大のみ)は以下の通り。

駒 大101 010 120=6
専 大000 001 000=1

      打安点
(4)林 琢320
(8)緒 方320
(9) 菅 411
(5)平 野200
(D) 東 101
(6)新 田412
(3)小 西410
(7)木 下510
(2)鈴 木510
     計3194

     回 打安点
◯福 山 9 3451

 初回、林琢真(市1)が中前打で出塁すると、敵失の間に生還。3回には菅力也(商4)が右翼線適時打、5回にも東凛太朗(政3)が中犠飛と追加点を奪ったが、3回は続く2死満塁を生かせず、5回も1死満塁から1点のみ。初戦で苦戦した専大先発佐藤奨真を攻めきれない。
 一方先発は前日先発し、8回途中まで130球を投げた福山優希(社1)が連投。5回まで1安打に抑える好投を見せる。6回には2安打など無死満塁と最大の山場を迎えるが、3番今里凌は浅い中飛、4番火ノ浦明正は空振り三振。この場面を1失点のみで切り抜けた。
 すると、打線は直後の7回敵失で1点を加えると、8回には2死から満塁とし新田旬希(商2)が右前へダメ押しの2点適時打。好投に応え、5点差と突き放した。
 援護を受けた福山は9回1死から左前打を許すが、次打者を遊ゴロ併殺に受け取り試合終了。2戦で計16回2/3、263球を投げ、9安打3失点。大一番で初完投を記録し、チームの救世主となった。
 残留を決め、選手たちはほっとした表情。菅ら泣き出す選手もいた。

8回にダメ押しの2点適時打を放った新田は、塁上で雄叫びを上げた(清野雄太郎撮影)
試合終了後、泣き崩れた菅(写真左)。主将の鈴木が横で肩を抱いた
計6得点での勝利に、ベンチも大いに盛り上がった(中川達夫撮影)

◆大倉 孝一監督
「(試合の流れは)福山が試合を作っていた。投手がああいう流れで試合を作ってくれたら野球はリズムが生まれる。だから打撃でもリズムは作りやすかったね。最後の最後で目指している野球ができたって感じかな。失点を計算しながら、攻撃を進めていけるっていう野球ね。(8回に2死満塁から点を取ったが、これは昨日言っていた粘り強さの表れか)当然。そうだね。(申告敬遠が2回あったが)それでやりづらいとかは無いからね。(相手投手の継投が多かったが、対応できたのは3戦目だからか)当然。1試合目が終わって、昨日に生かしているし、昨日と一昨日のことを今日に生かしている。バッテリーの攻めも、攻撃の打ち方も、ずっとその試合を重ねるたびに積み重ねてきている。(今日のような試合は強さになるのか)なるというか自分たちでこれを強さにしなければならない。入替戦を経験したから強くなるのではなく、どういうつもりでやったのか、どう受け止めるかなんだよ。さっきもミーティングで言ったんだけど『入替戦勝って良かったね』ではないぞと。入替戦になった時点でくっそー!と思わなきゃ。今はそこを抜けたところだよと。(1部で迎える入替戦と2部で迎える入替戦での違いは)ないない。一緒だよ。見ているのはリーグ優勝、日本一なので、入替戦はその課程に過ぎない。目指すもののためにその試合があるのだから、やるというだけのこと。今日も秋に巻き返してリーグ優勝するためにこの入替戦をクリアしなければというだけなので。1部に上がりたいとか残りたいとか、そういったことではない。と自分は思っている。(ここから先につながっていくシーズンになったのでは)そうだね、つなげなきゃだめだよね。今年のチームは若かった。だからこそその経験が伝承されるようにしなければならない。目指してるところは違うよ、入替え戦がどうしたよ?となれればいいよね。これをいい経験にさせてやりたい」

◆鈴木 大智主将
「(今の率直な気持ちは) 嬉しい気持ちもあるが、入替戦に行ってしまうほどリーグ戦で負けてしまい悔しいという気持ちもある。1部の6位になってしまったという悔しさを忘れず、秋にやり返せるようにしたい。(リーグ戦では3戦目を落とすことが多かったが今日は取ることができた。何か掴んだものなどは)攻める気持ちだと思う。入替戦は全員が思いきってプレーできたというか、相手ピッチャーの初球からガンガン振れていた。チャンスの場面でしっかりと攻める姿勢を見ることができた。(3戦目を迎えるにあたって、プレッシャーなどは)無いと言ったら嘘になる。今日は土壇場の試合で、点の取り合いになるだろうという話をしていた。序盤から点を取ろうという話もしていたので、相手のミスも絡んで先取点を取ることができたのは良かった。(試合前に監督からは何か)これが最後の試合なので、思い残すことが無いように、しっかりやれと言われた。勝とうが負けようが、結果は後で分かるのだから、思いきったプレーをと。(先発の福山投手の試合前の様子は)昨日投げた割にはあまり疲れも見えなくて、『大丈夫か』と聞いたら『全然大丈夫です』と頼もしい言葉が返ってきた。『昨日投げたことは考えず、いつも通りで』という話をした。(昨日と比べても一段と調子が良いように見えたが)昨日よりも思ったところに投げられていた。僕が打たせて取りたいと思ったところでゲッツーを打たせることができたり、三振が欲しいなという場面で三振を奪うことができていて、僕の思い描いた通りに投げきってくれたので、テンポ良く進めることができた。(初回は少しコントロールが乱れる場面もあった)本人も言っているが、立ち上がりに少し緊張するところがある。受けていてボールが少し違うので、緊張しているなと思って『少しくらい点取られても大丈夫だから』と声をかけた。初回さえ切り抜ければ2回からは立て直せるピッチャーなので、しっかりと投げてくれた。(1打席目はチャンスの場面でタイムリーを放ったが)センター前、抜けるなという当たりだった。良い感じで打てたと思う。チャンスのときほど冷静にという意識でやっている。(試合後のミーティングで中畑さんや監督からは何か)中畑さんからは『1回戦で負けてから2連勝という素晴らしい試合をしてくれた。感動した』という風に言われた。監督からも『よくやった、ナイスゲーム』という言葉と、『入替戦で勝って満足しているようじゃダメだから、秋に日本一を取るために、もう一回今日からスタートだ。悔しさを忘れずにスタートするぞ』と。(試合では4年生が活躍する場面が多かったが、同期の活躍というのは)4年生みんなで『やってやろう』という風にずっと話していた。チャンスで回ってくるのは4年生だろうし、チャンスを作らなければいけないのも4年生だから、しっかり4年生らしいプレーで引っ張って、絶対やってやろうと。この入替戦では、4年生が少しでも貢献できたのかなと思う。(試合後に菅選手が涙していたり、鈴木選手自身もしゃがみこんだりする姿が見られたが)ホッとしたのもそうだし、勝つ喜び、嬉しさというものが少ない試合が多かったので、改めてそういうものが感じられた。僕は3年まで試合に出てこなかったが、ベンチにいて感じる喜びと、自分が(試合に)出て勝つ喜びというのはまた感覚が違う。自分が出て、チームが勝てたということがすごく嬉しかった。(秋リーグまでの期間には)リーグ戦では目に見えないミスも含め色々なミスが出ていた。秋にはそういったミスが出ないように、この期間で1から仕切り直して、春に負けた悔しさを晴らして優勝、日本一になれるように、もう一回頑張っていきたいと思う。今日で今季の試合は最後になった。スタンドでずっと応援してくれていた応援指導部ブルーペガサスの皆さんと、試合を見に来てくれていた皆さんに感謝を伝えたい。本当にありがとうございました」

◆平野 英丸
「(残留を決めて)まずはホッとしている。昨日の試合もいい感じで、今日はやるだけだった。昨日のミーティングで『今までやってきたことを信じて、プレーしようと』と話していた。2戦目でみんな自信がついていたと思うし、今日も受け身にならずに攻撃できた。(専大の齋藤監督がラッキーボーイと話していたが)リーグ戦で結果が出なくてけっこう苦しかった。毎日がツーストライクみたいな感じで、夜まで自主練習をしても結果が出なくて腐りかけたが、いつかいいところで打てると信じてやってきた。いつも東と2人で練習していて、今日も東が犠牲フライを打ってくれたりして、嬉しかった。ただ、試合後のミーティングで『入替戦で残っただけで、最下位。浮かれている場合じゃない』と話があった。最下位になった悔しさを忘れずに、秋はリーグ優勝目指して頑張りたい。(4年生)みんな責任感が強かったから、『どうにかしなきゃ』と思っていたと思う。プレッシャーはあったけど、腹を括って思い切りよく、やってきたことを信じるしかなかった。4年生を中心に引っ張ることができたのでよかった。(得点こそしていたが、攻めきれなかった印象だったが)相手はビッグイニングを作れる打線なので、3対0になっても次の1点と言い続けていた。その中で新田が打ってくれたので助かった。1部の意地を見せられたと思う。初戦で打たれて負けたが、意地を見せられた。秋は優勝します」

◆東 凜太朗
「(残留を決めて)安心した。本当に打てなくて、林コーチにいろいろ教えてもらったし、監督にも後押ししてもらった。(犠飛は)最低限犠牲フライと思っていた。勝ったから今日はよかったけど、ヒットは打っていないので……。昨日、一昨日はめちゃくちゃ悔しかった。みんな頑張っているのに、僕だけあんな(3戦合計7打数無安打)。(来季に向けて)もう1回4年生を中心に頑張りたい。今回は最下位なので、次は優勝で喜べるようにしたい」

◆菅 力也
「(入替戦のプレッシャーは)2部を経験して、2つ上の人達が上げてくれて、去年は優勝争いまでいった。強い駒大をつなげていかないといけないタイミングだったので、落ちれんなというのはずっと思っていた。入替戦が決まった時は正直すごくきつかった。もし負けて『グラウンドがなかったから仕方ないよ』とか、『4年生は去年まであんまり出てなかったから仕方ないよ』と言われるのだけは嫌だった。それを見返すというか、そうならなかったのがよかった。(入替戦では4年生も活躍したが)最後は4年生がやろうというのはみんなが絶対思っていること。木下が今日スタメンなのはそういう意味もあると思う。(試合後泣いていたが)昨日も泣いた。昨日は鳥肌から、今日はとりあえず終わったと思って。この3週間はとてもきつかった。(ベンチ裏でも新田選手と泣いていたようだが)あいつが泣いていた(笑)。あいつも泣き虫なので。広島出身なので、一緒にいることが多い。(前田)研輝とか、(佐藤)勇治とか、広島出身はなぜか絆が深い。これで日本一になる権利が残った。そこしか見ていない」

◆新田 旬希
「(今日の試合の流れは)先制して、途中1点ずつ取って3-0で、終盤に点取れたのが大きかったなと思う。(最後に自分の一打で追加点を挙げたが)今まで好機で打てず、散々チームに迷惑を掛けてきた。打てて良かった。ここで点を取っておかないと流れがと思っていたので良かった。(ファール3球のあとの安打だったが狙い球等は)特に何も考えてなかった。来た球に反応した。(リーグ戦では3回戦で敗れることが多かったが)今までずっと3戦目を落としてきた。自分たちがやってきたことを信じて3回戦もやろう、それで負けたら仕方が無い、と思っていた。自分たちがやったことを信じてやった。(今日も平野さんが打ち、前にランナーがいることが多かったと思うが)平野さんがつないでくれた。1試合目で自分が4番だったが全く打てなかった。2試合目からは平野さんが4番で打ってくれたので、自分としても平野さんがあれだけ打ってるのだから打たなければと思えた。昨日からそういう気持ちでやったら昨日も安打が出た。今日も最後に打つことができたし、本当に良かったと思う。(菅選手が泣いていたが)実は僕も力さんと一緒に泣いてました。ベンチ裏で。力さんに『よう頑張ったな』と言われて、ほっとしすぎて泣いてしまった。力さんとはいつも一緒にいる。練習中も二人でアドバイスしあっているし、二人とも今日安打が出て良かったと思う。(オフに向けて)課題と無駄な失点とかが多い。それをなくすこと。打撃は今日見たとおり全員打ててはいる。1部にはいい投手がたくさんいるので、そこを打てるように徹底した打撃力をつけていきたい。(特に自分の課題は)左投手の外の球があまり得意ではない。1試合もその球で三振してしまった。その球をセンター方向に打ち返すようにしたい。守備は去年よりましになっていると思うが、よりレベルアップしていかないと上には行けないので、しっかり基本からやっていきたい」

◆福山 優希
「(監督から登板のタイミングを伝えられたのは)前日の夜監督室に呼ばれて『明日いけるか』と聞かれ、張りなどがあるかなとも思ったが、関係ないと思い『いけます』と答えた。(マウンドに上がる前はどうだったか)色々な人から『がんばれよ』と言われていて、それを間に受けすぎて自分のやるべきことを見失ってしまうと思い、自分がやることは整理して(鈴木)大智さんとも話してマウンドに上がった。(ピンチをしのいだ時右手を上げていたが)入ってきたばかりで、2部の試合や環境のことは分からなくて、自分自身春のリーグ戦を1試合1試合重ねていただけだったが、駒大が2部にいるということはあってはならないと思い、なんとか戦力になれるようにと思ってやっていた。(投球に感情がこもっていたように見えたが)もともと感情を出して投げられるようタイプだと思うので、勢いを持ってくるという意味でもガッツポーズをしたりしていた。(相手がバスターを使う戦法になったが)急にやってきたのでなんだろうと思ったが、大智さんから『急に変えたから打てるわけではない』というバッター目線での指示をしてもらい落ち着いて投げることができた。(投げていて打線はどう見えたか)投げていてイニング間に(菅)力也さんが『次絶対とるからここ踏ん張ってくれ』と何回も声をかけてくれ、力也さんに限らず他の選手からも声かけをしてもらったので投げることができた。(完投をした感想は)完投したことよりも、勝てたということが良かったと思う。今日は1点取られて勝つことができたが、1点取られて負ける試合もあると思うので、打線に助けてもらったというのが一番大きい。投げ切ったということは自信になると思うが、まだまだ課題はあるので秋に向けて直していきたい。(疲れなどはあったか)ないと言ったら嘘になるが、それを気にしていたらだめだと思うので気にせずに投げた。(9回まで投げ切ろうという意識はあったのか)監督からは行けるところまでと言われていて、他の選手からは短いイニングでもいいから頑張れと言われていたが、今日連投で投げ切ったらかっこいいと思ったいた。(最後まで行けるという感じはあったか)それはなかった、一人ひとりを抑えると思って投げていたら9回完投になった。(1部残留を決めたときの気持ちは)ほっとしたというのが正直な気持ちだが、監督からはミーティングで『入れ替え戦で勝ったからこそ言えることだが、入れ替え戦をやっている場合ではない、そこ(1部残留)を目指しているわけではないから、今日の勝ちは秋を取ることで意味がある』と言われたので、今日は今日で切り替えて、秋に向けてスタートしていきたい。(中畑氏に褒められたが)テレビで見てた人に褒められて嬉しいというかびっくりした。応援をたくさんしてくださったいるというのも聞いていた。偉大なOBが多い大学でよかった。(秋までの目標は)入れ替え戦から使い始めた球種の精度を上げることと、入学した生活に慣れたい。体重が減ってしまったのでしっかり休んで体づくりをしたい」

◆中畑 清硬式野球部OB会長(75年卒)
「(残留を決めて)福山には後光が差していた。神様だね。後ろに輪っかが見えて、思わず拝んだよ(笑)。リーグ戦なんて比にならないぐらいのプレッシャーの中で、2試合続けてこんなに投げきる1年生がいるとは。昨日のマウンドが投球内容に生きていると思ったね。相手の弱点を見抜いて立ち上がりから攻めていた。(大倉監督が日本一を目指すと話していたが)条件としてここをクリアしないといけなかった。大きな壁を越えて、権利を勝ち取った。(グラウンド工事など)あまりにも環境が整っておらず、なるべくして最下位になったように感じる。それをクリアできたのはものすごく自信に変わると思う。秋に生きる入替戦だったと思う。グラウンドでは年齢は関係ない。そういうメッセージを福山や林琢が送ってくれた。3年生、4年生が黙っていられなくなって、平野が蘇ったり、鈴木にしても一皮むけてらしくなってきた。この入替戦はすごく財産だったと思う。秋は楽しみだね」

◆専大・齋藤 正直監督
「(試合を終えて)昨日4対4に追いついたところで、昇格するチームは勝つのだと思う。仕方ないけど、(昨秋、今季と)2回連続で負けてしまって2部のチームに申し訳ない。(駒大の印象は)調子が悪かった平野君がラッキーボーイになった。それが大きい。ラッキーボーイが出ると盛り上がるし、4年生の彼が若いチームを引っ張った感じがする。駒大は非常に元気があってまとまっていた。(駒大対策は)当然だけど、1番林、2番緒方のうるさい2人を出さないように。足でかく乱されることはなかったと思う。ただ、ピッチャーについては福山君が予想以上によかった。1年生で段々調子を上げてきているのはわかっていたが、あそこまでコントロールがいいとは認識できなかった。(福山対策は)低めのボールを振らないように。ただ、インサイドの攻め方がシュートとカットボールだったし、左右高低を上手く使われた。左右のコントロールがとてもよかったのでいいピッチャーになると思う。(1部と2部でリーグ戦が終わった時期が違ったが)駒大が5月23日で、僕らは6月6日。駒大は1カ月近くあって、調整する時間が十分あったのが大きいと思う。僕らはリーグ戦の流れできたので、特にピッチャーに疲労の蓄積はあったかと思う」

© 駒大スポーツ編集部