6年ぶりのフルモデルチェンジで大幅アップデート
新車として販売されるクルマの約40%を占めると言われるほど、近年の軽自動車人気には目を見張るものがある。そんな未だ衰えを知らない軽自動車市場において、日産の重要基幹車種としてフルモデルチェンジを受けたのが日産 新型デイズだ。
日産と三菱の共同出資で誕生した合弁会社NMKVの設立後、初代 日産デイズ(三菱ekワゴン)が2013年に誕生して以来、今回のフルモデルチェンジは、およそ6年ぶり。初代デイズが三菱主導で開発されたモデルであったのに対し、新型デイズは日産が企画と開発を担当したことで大きな注目を集めている。
今回は、そんな大注目を日産 新型デイズの魅力や特徴を、モータ独自の取材で得た写真をもとに振り返ってみよう。
プロパイロットを搭載し長距離運転をサポート
今回のフルモデルチェンジにおけるメイントピックと言えば、軽自動車では初となるプロパイロットを搭載したことだろう(2019年3月の発売時点)。同社のリーフやセレナなど、プロパイロットという存在自体すっかりお馴染みだが、軽自動車に搭載したことは、やはり革新的だと言って良いかもしれない。
プロパイロットは、ハンドル操作をアシストして同一車線の中央付近を維持することを支援するのはもちろん、前を走る車に合わせて、減速から停止、そして、停止保持までをサポートする。
一昔前まで、高速道路を走る軽自動車はそれほど多くなかったが、近年では高速道路を走行する軽自動車を多く見かけるようになった。ファーストカーとして、これ1台で満たすユーザーが増えた証拠だ。そんな時代の流れを鑑みれば、普通車に搭載されるものと同レベルの運転支援システムが搭載されるのは、もはや必然と言っても良い流れだろう。
新開発のエンジンとCVTでクラストップレベルに返り咲き
搭載されるエンジンは、新開発のBR06型エンジンとなり、従来よりもトルク重視のロングストローク(62.7×71.2mm)タイプとなる。
グレードによって選べるエンジンは異なり、ベースグレードとなる“S”と“X”には、38kW/60N・mを発生する純粋なNAエンジンを搭載。
そして、ハイウェイスターXには、上記NAエンジンに最高出力2.0kWを発生するスタータージェネレーターを組み合わせた“スマートシンプルハイブリッド”となる。
最上級グレードとなるハイウェイスターGターボは、スマートシンプルハイブリッドにターボを組み合わせ、最高出力47kW、最大トルク100N・mを発生。ターボエンジンの動力性能は、1リッタークラスのNAエンジン並みの動力性能を持ち、普段使いでパワー不足を感じることはないだろう。
さらに、新型デイズではCVTも新開発されており、低フリクション化、軽量化、さらには小型化にこだわった軽自動車専用のCVTとなっている。
このように、エンジンとCVTを新開発したことで、一時は話題となった燃費問題を一気に解消するとともに、大幅に燃費が向上。SやXに搭載されるNAエンジンで、JC08燃費29.4km/L、スマートシンプルハイブリッドエンジンで、JC08燃費29.8km/Lという燃費性能を誇る。
日産のアイデンティティーが色濃く表現したデザイン
近年の日産車共通のアイデンティティーである“Vモーショングリル”を採用。ハイウェイスターはグリルを大きくとり、ヘッドライトは小さめで、やや押し出し感強い精悍な顔立ち。対して、ノーマルグレードでは、グリルの開口部は控えめで、反対にヘッドライトを大きくすることで、物腰の柔らかい万人受けするデザインとなっている。
また、サイドビューに目を移すと、後方に行くにしたがってキックアップされるウインドウラインや、フローティングルーフなど、ほかの日産車にも見られるデザインコンセプトが取り入れられている。
軽自動車でもメインのクルマになれる上質感
内装に関しても、クラスを超えた高い質感ともっぱらの評判で、従来型で不評だった小物入れの少なさも解消。軽自動車をメインのクルマにと考えているユーザーでも、十分に満足のいく仕上がりになっている。
また、プラットフォームも新たに開発したことで、ホイールベースは旧モデルと比較して65mm延長した。これに伴って、エンジンルーム長が65mm短縮。ホイールベースの延長分がそのまま室内長に反映されたことになり、軽自動車とは思えない余裕の車内空間を実現している。
[筆者:増田 真吾]