巨大な扇、阿蘇に浮かぶ 北外輪山

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伝統の「扇切り」後、山肌へくっきりと浮かび上がった巨大な日の丸模様の扇=阿蘇市

 熊本県阿蘇市狩尾の北外輪山斜面で4日、地域伝統の「扇切り」があった。一帯は熊本地震で崩落や亀裂が多発したが、昨年から野焼きも再開。鮮緑の山肌に巨大な日の丸模様の扇がくっきりと浮かび上がった。

 扇は幅約70メートル、縦約50メートル。田畑や牛馬の安全と豊作を祈って明治末期に始まったとされる。戦中・戦後の中断を経て、現在は地元有志でつくる保存会が毎年お盆前に作る。

 午前5時すぎから、20~60代のメンバー18人が標高750メートル、傾斜45~60度の急斜面で作業。麓で見守るメンバーから携帯電話で指示を受けて形を整え、刈り取ったススキやササを敷き詰めた。

 「人手のいる大変な作業だが、若者も加わり心強い。地震直後も絶やさなかった伝統を長く伝え残したい」と鎌倉昭幸会長(64)。扇は、旧尾ケ石東部小付近などから望め、冬は積雪で白く浮かび上がる光景も楽しめる。(中尾有希)