がん患者3275人の情報漏えい 横浜市大病院で医師ミス

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会見で謝罪する相原病院長(左から3人目)ら=横浜市役所

 横浜市立大付属病院(同市金沢区)は5日、泌尿器科の40代の男性医師が、同病院を含む県内20の病院で手術を受けた膀胱(ぼうこう)がんの患者3275人の個人情報を誤って漏えいした、と発表した。電子メールでのやりとりが禁じられているにもかかわらず、男性医師は各病院の医師らに一斉送信した上、アドレスを誤り、使用者不明の二つのアドレスに送ったという。情報は臨床研究に利用されてきたが、漏えいを受けて同病院は研究を一時、中止する。

 漏えいしたのは2010年から14年の間、20病院で膀胱がんの手術を受けた患者の実名や生年月日、術後の治療、再発の有無など。

 同病院によると、男性医師は7月24日、患者の現状を報告してもらうため、研究に関わる医師22人に、個人情報が記載されたエクセルファイルをメールで一斉送信。その際、13人のアドレスを誤り、2人分が送信済みになった。11人分は送信されずに戻ってきた。男性医師から報告を受けた同病院が、この二つのアドレスにファイル削除を依頼するメールを送ったが、現時点で返信がない。

 同病院は12年から、膀胱がんの新たな治療法のための臨床研究を開始。個人情報は19病院からも提供を受け、研究に使用されていた。

 同病院の研究倫理委員会が承認した計画書では、個人情報を取り扱う際は郵送または手渡しとし、患者を匿名にするよう義務付けられていた。だが同病院によると、メールでのやりとりは当初から行われ、数年後からは実名で共有していた。

 男性医師は17年から研究に参加。同病院に対し、「ルールは分かっていたが、(匿名だと)確認作業に手間が掛かるため、守らなかった」と説明し、送信前にアドレスを確認したり、ファイルにロックを掛けたりもしていなかったという。

 同病院の相原道子病院長は5日、市役所で会見し、「適切な管理を行わなかった結果、多くの患者情報を漏えいした。病院全体の問題として、責任を重く感じている」と謝罪。各病院を通じ、患者に謝罪文を送ったと説明した。

 同病院は倫理委からの勧告を受けて研究を一時中止するとともに、第三者を含む調査委員会を立ち上げて再発防止策などを検討するとした。

 同病院は情報漏えいに関する相談窓口を設けた。問い合わせは電話045(787)2988。