山形・豪雨被害から1年 蔵岡地区で「輪中堤」整備や早め避難の独自基準設定で対策強化

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昨年8月の豪雨で排水ポンプ場(中央)が機能せず、橋の下を流れる角間沢川が氾濫した蔵岡地区。奥は最上川

 山形県最上地方に被害をもたらした記録的豪雨から5日で1年となった。最上川に合流する角間沢川が内水氾濫し、全85世帯のうち67世帯が床上・床下浸水した戸沢村蔵岡地区では、集落を取り囲む「輪中堤(わじゅうてい)」の整備や地区限定の避難基準設定など、ハード、ソフト両面での対策強化が進められている。(新庄支局・阪本直人)

 輪中堤は国と県が整備する。3月の地区説明会で工期約3年、堤の高さを約1~3メートルとする設置案に住民が合意した。集落と一部農地を囲むように農道をかさ上げして築くもので「昨年と同規模の出水から集落を守れる」(東北地方整備局新庄河川事務所)という。本年度内の工事着手を目指し、現在は詳細設計に向けた測量が行われている。

 昨年8月5~6日の24時間降水量は、集落近くの観測点で過去最高の366ミリに達した。同地区では5日午後11時半すぎに住宅浸水が発生。角間沢川に面した農家の女性(83)は「夜遅くに家の中に水がどんどん上がってきた。恐ろしさが頭から離れない」と振り返る。住民約80人が家屋に取り残され、翌朝ゴムボートで救出された。

 同地区では昨年8月31日~9月1日の大雨でも21世帯が床上・床下浸水した。短期間に相次いだ内水氾濫では、角間沢川の水を最上川へ強制排出する国のポンプ施設が停電などで十分機能せずに被害が拡大。住民の不満が高まり、新たな治水対策が求められてきた。

 国・県が輪中堤整備を進める一方、村は住民の避難迅速化に力を入れる。

 同地区の指定避難所は約3キロ離れた最上川対岸の戸沢小・中学校になる。途中には冠水危険箇所があり、早期の避難行動が欠かせない。村は過去の雨量と浸水発生のデータを分析。家屋浸水まで約4時間の余裕が持てるとして、大雨・洪水警報の発表後、雨量が80ミリに達した時点で避難を促す同地区限定の新基準を設定し、住民に理解を求めた。

 同地区会長の長沢勇夫さん(65)は「大雨が降ると毎年不安が尽きない。輪中堤の早期整備を期待するとともに、早めの避難へ向けて住民が協力する仕組みづくりも進めたい」と話した。