やすらぎ伊王島の売却額 「安すぎる」と住民監査請求

 長崎市が、リゾート施設「やすらぎ伊王島」の土地建物について、現在の運営会社「KPGホテル&リゾート」に対し、違法に安い価格で売却したとして、長崎市内の経営コンサルタント野田博康さん(70)が5日、田上富久市長に損失の補塡(ほてん)を求める住民監査請求をした。市監査委員が今後、受理するか否か判断する。

 売却は2017年4月。土地建物の鑑定評価額は当初、長崎市が13億1千万円、KPGは9億7千万円としていた。長崎市は最終的に施設老朽化に伴い多額の修繕費がかかることなどを理由に、土地だけの鑑定評価額4億3600万円で売却した。

 野田さんは、長崎市長がKPGに「忖度(そんたく)した」と主張。競争入札ではなく随意契約で、売却額も安すぎるとして市の鑑定評価額から売却額を引いた8億7400万円の補塡を長崎市長に求めている。

 施設は旧西彼伊王島町時代に経営難で一時閉鎖。2006年にKPGが市の指定管理者となった。長崎市はこれまでの実績から売却時に随意契約を選び、額も「妥当」と説明している。

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