社説:学力テスト 現場改善に生かせるか

©株式会社京都新聞社

 全国の小学6年生と中学3年生を対象にした学力テストの結果を文部科学省が公表した。

 毎年4月に行われる。今回は国語と算数・数学に加え、初めて中3英語を実施。「読む・聞く・書く・話す」の4技能について出題した。

 「使える英語」を子どもたちに身につけさせる狙いという。その結果、自分の考えを書いたり話したりする発信力に課題が浮かんだ。

 学校現場には、従来の授業で生徒を伸ばせているのか再考し、改善を図るきっかけにすることが求められる。

 ただ、現場任せで教員の負担が増えるだけでは解決にはならない。改善には人材と財政的な裏付けが欠かせず、国は必要な支援に取り組むべきだろう。

 いつも注目されるのは都道府県別の正答数と順位だが、大切なのは分析を踏まえて全国的な学力の底上げを図ることだ。

 テスト結果と、同時に行った児童生徒や学校へのアンケートから、必要な基礎学力がどの程度身に付いているか、生活習慣や授業方法を含め課題は何かを明らかにすることが期待される。

 今回のアンケートでは「英語の勉強が好き」と感じている生徒の方が、正答率が高い傾向が出た。

 英語で自分の考えをまとめ、即興で気持ちを伝え合うような授業を受けている生徒の方が、英語を好きと感じている。

 生徒の「好き」を呼び起こす授業の工夫が、学力の向上につながることをうかがわせる。ぜひ今後のヒントとしたい。

 京都府の結果を見ると、「勉強が好き」という児童生徒の割合が全国平均より低い傾向がみられ、気掛かりだ、なぜなのか、分析が必要ではないか。

 学力テストは12回目になる。

 地域や学校の序列化で過度の競争を生みかねず、テスト結果を教育施策に生かせていない|。これまでも、厳しい指摘が繰り返されてきた。

 傾向をつかむためなら、抽出調査で十分だろう。膨大な経費と労力を使った上、本来の目的がねじ曲げられているようなテストこそ改善すべきだ。

 今回はパソコンを使った英語の「話す」調査で、録音の不具合により、1万5千人以上の採点ができなくなるトラブルもあった。

 2020年度に始まる大学入試共通テストの民間検定試験でも一部はパソコンなどを利用する。十分な対策を進めてほしい。