「前に進む感じがある」― 日本ハム栗山監督が目を細める期待のプロ3年目野手

日本ハム・石井一成【写真:石川加奈子】

3年目の石井はレギュラー定着に向け成功と失敗を積み重ね成長曲線を描く

 首位のソフトバンクを2.5ゲーム差で追いかける日本ハム。ファンの期待を背負い、負けられない試合が続くが、栗山英樹監督は「こういう時が一番成長する」と若い選手に期待をかける。

 二塁の定位置をつかんでクリーンナップに座る渡邉諒内野手やチーム2位の41試合に登板している玉井大翔投手ら昨季の経験を生かしてステップアップしている選手は多い。3年目の石井一成内野手もその一人だろう。

 首位攻防戦の3タテ阻止がかかった4日のソフトバンク戦(札幌ドーム)では、1点を追う5回に先頭打者として打席にたつと、三塁前へのセーフティーバントを試みた。一塁にヘッドスライディングして出塁すると、この回一挙4点を奪って逆転する起点となった。栗山監督も「あの1本で流れが変わった」と評価する大きなバント安打だった。

「何とか塁に出たかった」。そんな熱い思いの裏には冷静な判断力があった。ソフトバンク・二保が投じた初球、内角高めのボールを見送った後に「ひらめいた」と石井は言う。「(三塁を守る)松田さんは前にいましたが、初球を見送ったので(松田が)『やってこないな』と思ったんじゃないかなと思って」と状況判断が光った。

 試合を通じ「落ち着いて(試合の)流れを見ることができているのかなと思います」と自己分析した石井。一方で、自身の失敗も忘れていない。「バントミスだったり、ホームでのクロスプレーだったり、いろんなミスをして流れを止めていたので。今日は勝ちたいという思いだけで臨みました」と4日の試合後に語っていた。

 7月以降、石井を先発で起用し続けている栗山監督は「ああいうところで自分が何をしたらいいのか。少しいろんなものを見ながら自分のプレーができるようになった結果。前に進む感じがある」と目を細めた。成功と失敗を積み重ねながら、背番号「38」は着実に成長曲線を描いている。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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