ブランパンGTアジア:BMW駆る木下隆之&砂子塾長、韓国で戴冠。GT3チーム王者も最終戦前に決定

 ブランパンGTワールドチャレンジ・アジア第9・10戦が8月3~4日、ヨンアムの韓国インターナショナル・サーキットで行われ、地元韓国チームであるソリット・インディゴ・レーシングの97号車メルセデスAMG GT3(ルーロフ・ブラインス・チョイ/マニュエル・メッツガー組)が土曜に実施された第9戦を制した。日曜の第10戦ではパンサー/AASモータースポーツの918号車ポルシェ911 GT3 R(ブティコン・インタラプワサク/アレキサンドレ・インペラトーリ組)が第4戦チャン以来、今季2勝目を飾った。

 鈴鹿、富士と続いた2019シーズン中盤の日本ラウンド2連戦を終え、シリーズは終盤戦に突入。チャンピオン争いが大詰めを迎えるなか、戦いの舞台となったのはかつてF1も行われた韓国・ヨンアムの韓国インターナショナル・サーキットだ。

 計4回の予選を経てスタートの時を迎えた第9戦決勝は、ソリット・インディゴの97号車メルセデスがポールポジションから飛び出すが、予選で2番手グリッドを得たアブソリュート・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 Rがレース序盤にこれを交わしてトップに立つ。

 さらに、4番手からスタートしてひとつ順位を上げた坂本祐也駆るハブオート・コルサの27号車フェラーリ488 GT3も97号車メルセデスを攻略していく。しかし、ピットイン後のレース後半になると形成が逆転する。

 チョイから交代したメッツガーは、後半スティントの早い段階でトップの911号車に追いつくと、前を走るフィリップ・ハンプレヒトがGT4カーに引っかかったタイミングでラインを変え一気にオーバーテイク。首位の座を取り戻したAMG GT3は勢いをそのままに悠々とトップチェッカーを受けた。

 一方、2番手となった911号車ポルシェは97号車メルセデスに交わされたコーナーで、今度は27号車フェラーリにオーバーテイクを許してしまい3番手に。結局、坂本/マーコス・ゴメス組フェラーリに次ぐ3位でフィニッシュしている。

 この他の日本勢は澤圭太/ピティ・ビョロムパクティ組のABSSAモータースポーツ、61号車マクラーレン720S GTSが総合11位/GT3プロ・アマクラス5位、ヴァッターナ・モータースポーツの浅井亮博/チョンサワット・アサワハム組128号車ランボルギーニ・ウラカンGT3が総合15位/GT3アマクラス2位表彰台を獲得した。GT4アマクラスを戦うBMW Team Studieの砂子塾長/木下隆行組は、ジャンプスタートに対するペナルティを受けたことでクラス4位に終わっている。

■木下隆之&砂子塾長組81号車BMW M4 GT4がシーズン6勝目

第9戦ヨンアムで優勝した97号車メルセデスAMG GT3
27号車フェラーリ488 GT3
911号車ポルシェ911 GT3 R
128号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo

 翌日の第10戦はポールポジションを獲得していたクラフト・バンブー・レーシングの88号車ポルシェ911 GT3 Rが5グリッド降格ペナルティを受けたことで、トリプルエイト・レース・エンジニアリング・オーストラリアの888号車メルセデスAMG GT3がポールからのスタートに。

 その888号車を駆るシェーン・ヴァン・ギス・バーゲンはスタート直後こそ、2番手スタートとなった918号車ポルシェにポジションを譲るものの、オープニングラップの最終コーナーで首位に復帰。以降、ピットウインドウ・クローズ間際までレースを支配し、2番手のインペラトーリに14秒のギャップを築いて規定のピットストップに向かった。

 2番手を走る918号車ポルシェもピットインを最後まで引っ張ってインペラトーリからインタラプワサクに交代するが、ピットアウト後、10番手から追い上げてきたアウディスポーツ・アジアチーム・TSRTの12号車アウディR8 LMSにポジションを奪われ3番手に後退してしまう。

 しかし、この12号車アウディは、666号車ランボルギーニ・ウラカンGT3との接触でドライブスルーペナルティを受けることに。これで2番手を取り戻した918号車ポルシェは徐々に前とのギャップを縮めると、VASC王者からマシンを引き継いだアブドュル・ラーマン・イブラヒムを交わしてトップに浮上した。

 終盤、888号車メルセデスを攻略したJRMの910号車ポルシェ911 GT3 Rが918号車に迫ったものの、インタラプワサクがこれを振り切ってトップチェッカー受けた。910号車は1.218秒届かず。3位/シルバーカップ優勝はアブソリュート・レーシングの912号車ポルシェ911 GT3 Rが続き、ポルシェ勢が総合表彰台を独占した。ポールシッターの888号車は、第9戦ウイナーの97号車メルセデスに次ぐ総合5位/GT3プロ・アマ3位でフィニッシュしている。

 同ラウンドにおける日本人のリザルトは、坂本組27号車フェラーリが総合6位/GT3シルバーカップ3位、ABSSAモータースポーツの61号車マクラーレンが総合10位/GT3プロ・アマ4位。GT3アマクラスにエントリーしている浅井組128号車ランボルギーニは総合16位/クラス2位となった。

 GT4アマクラスのポイントリーダーである砂子塾長と木下ペアは、このレースを2番手からスタートし、最終的に今季6勝目をマーク。この結果、同クラスのドライバーズチャンピオンを確定させている。

 また、チャンピオンシップでは第9戦終了時点で、GT3クラスのチームタイトルが決定。アブソリュート・レーシングが2019年チームチャンピオンに輝いている。

 この他のチャンピオンが決定するブランパンGTチャレンジ・アジア最終戦上海は9月27~28日、上海国際サーキットで開催される予定だ。

2019ブランパンGTワールドチャレンジ・アジア第10戦ヨンアム スタートシーン
61号車マクラーレン720S GT3
912号車&918号車ポルシェ911 GT3 R
888号車メルセデスAMG GT3
BMW Team Studieの81号車BMW M4 GT3

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