新幹線長崎ルート 与党検討委「フル規格が適当」 佐賀県に基本方針

佐賀県議会の桃崎議長(右)に基本方針と協力要請書を手渡す山本委員長(中央)

 九州新幹線長崎ルートで未着工となっている新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)の整備方針について、「フル規格が適当」との見解をまとめた与党検討委員会の山本幸三委員長は6日、佐賀県を訪ね、同県と県議会の桃崎峰人議長に検討委の基本方針を示した。
 国土交通省や長崎、佐賀両県、JR九州による4者協議への参加を求める協力要請書も提出。山口祥義知事は公務を理由に面会に応じず、秘書課が対応した。
 基本方針は、長崎ルートの整備について、新大阪との直通を前提に整備が進められてきたと指摘。武雄温泉駅での対面乗り換えの恒久化は利便性が低く、整備効果が発揮できない上、全国的な高速鉄道ネットワークの形成を妨げるとして「あってはならない」と強調。時間短縮効果や収支改善効果が大きく、全国的な新幹線ネットワークとしての整備効果が最大限発揮されるフル規格(複線)で整備することが適当とした。
 比較検討したミニ新幹線は効果が限定的で在来線の運行に影響があると指摘。単線フル規格は輸送障害時のダイヤの乱れや、列車の行き違いによる所要時間がかかることなどが課題とし、JR九州や長崎県が望まなかったとしている。
 ルートや財源負担の在り方、政府予算概算要求については触れなかった。
 今後の進め方として4者による丁寧な協議を求めており、佐賀県の新幹線の担当部署は「知事に報告して対応を検討する」とし、桃崎議長は「各議員の議論を待ちたい」と述べるにとどめた。

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