誰もが知る“家族”の、誰も知らない10年後!「舞台・サザエさん」主演・藤原紀香が会見

福岡・博多座で9月28日から上演される「舞台『サザエさん』」に先立ち、7月26日に記者会見が原作者・長谷川町子のゆかりの地であり、漫画にも登場する福岡市早良区の西南学院大学博物館(ドージャー記念館)で行われた。会見には主役のフグ田サザエを務める藤原紀香が登壇。藤原はサザエさんのトレードマークでもある“サザエさんヘアー”で登場し、会場を沸かせた。

今回の舞台決定を聞いた時は「私でいいの?」と驚いた藤原。だが「お調子者で、おっちょこちょい」なサザエのキャラクターは自身に似てなくもないと振り返る。幼いころから両親に「あんた、サザエさんかいな!」とたしなめられたことも。さらに、役の決定を夫・片岡愛之助へ報告すると「地のままやん! いいやん!」と祝福を受けたほどだ。

博多座の舞台は初めての藤原だが「(片岡や周りの役者から)博多座は本当にいい劇場で、楽屋も使いやすいと聞いているので楽しみです」と破顔。その上で、座長として「博多座のお客さんは熱気がすごい! みんなが大好きな『サザエさん』を、作品に対するリスペクトを持ちながら、しっかり稽古していいもの作り上げたい。福岡のお客さんと一緒に盛り上がりたいです」と意気込む。

舞台は、現在放送中のアニメから10年後という設定。サザエの夫・マスオ(葛山信吾)は出世し多忙を極める一方、父・波平(松平健)は定年退職し、暇を持て余す日々。フネ(高橋恵子)はそんな家族の悩みを飼い猫・タマ(酒井敏也)に日々語りかけている。そしてカツオ(荒牧慶彦)はなんと大学生! ワカメ(秋元真夏、齊藤京子 ※Wキャスト)は専門学校に通い、タラオ(大平峻也)も中学生になる。相変わらずおっちょこちょいでお調子者なサザエだが、そんな家族に悩みが絶えない日々…というアニメとは違う設定で物語が進められていく。誰もが知る“家族”の、誰も知らない10年後を演じることにプレッシャーは?という問いに藤原は、「逆にワクワクしています」と答えた。

会見を終えた藤原に話を聞いた。

──会見、お疲れさまでした。「舞台『サザエさん』」は、“家族団らん”という紀香さんが今まで演じてきたジャンルとは少し違うかなと思うのですが。演じるにあたって、ご自身で意識することはありますか?

「“ホッコリ”なテーマって初めてですね。今まではドラマティックに(私が)死んじゃう物語とか、退廃的なキャバレーとか…あと外国人役とかね。作り込む感じだったんですけど、今回は皆さんが知る作品なので、気負いしてもしょうがないなって思っています。大好きな『サザエさん』への愛と、作品へのリスペクトの気持ちを持って、頂いた台本を真っ向から受け止めて、演じていきたいなと思っています」

──先ほどの会見でも「サザエ」というキャラクターはご自身の“素”に近いとおっしゃっていましたが。

「そうですね。演じている人の一部分が自然に出てきて『これは素なのか? それともお芝居なのか?』って考える瞬間って、演じる側でも見る側でも面白いなって思うんです。そういうことが、自然にこのキャラクターって起こりやすいのかな?って思います」

──台本があがってきたら、ひたすら向き合うっていうことですね。

「そう! それまでにたくさん予習をしないとね。『サザエさん』の細かい歴史とか背景って簡単には読み込めないじゃないですか。だからそこは絶対注意しなきゃいけなくて。いろんな伏線があると思うんです。作品の歴史やいろんな人の思いを知って、(台本を)読まなきゃいけないなと思っています」

──サザエさんのアニメの中で好きなキャラクターはありますか?

「タマ!! だからタマがどんな内容を話すのか…本当に楽しみですね。酒井敏也さんがどんな形で起用されるのか、まだ誰も教えてくれないし…(笑)。タマが、私たちのことをどう思ってるんだろうか…って。怖いよ~(笑)。それはまだ『サザエさん』の50年の中で出てきてないですもん! ワクワクしますね~。きっとお客さんにもそこでクスっとしてもらえると思います。私たちも台本読んで『え~っ!』ってなることもあるかもしれない。そんなふうに思ってたの?ってなっちゃうかも!」

──博多座は今回が初めてということですが、“先輩”である愛之助さんから博多座情報の予習はされましたか?

「いろいろ教えてもらいました。お弟子さんたちが、どんどんおいしいとこ開拓していて、まだ行けてないとこもあるし。ステーキ屋さん、すき焼きさん、ラーメン屋さん、ギョウザ屋さんとか…(笑)。いろいろありますよね、福岡って。あと温泉も行きたいんですけど、スケジュール的に今回は無理そうなんです。でもいつか温泉巡りはしにまた来たいですね。こっちの温泉って、なんかトロっとしてて、エネルギーがあって…好きなんですよ」

──では、最後に公演に向けての意気込みをお願いします。

「『サザエさん』ゆかりの地であり、作者の長谷川町子さんの思いがいっぱいの福岡という地で、この作品ができることってすごく意味があることだと思います。心して私たちも稽古につとめて、楽しくて愛があって…家族っていいなって思える作品にしたいと思っていますので、ぜひご家族で、お仲間で博多座に足をお運びください!」

──ありがとうございました。

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