実写とアニメが交錯する新感覚ドラマの第2弾! 木村多江が崖っぷちの漫画家に

実写とアニメが交錯する新感覚ドラマの第2弾! 木村多江が崖っぷちの漫画家に

NHK BSプレミアムでは、8月10日に「ドラマ×マンガ お父さんと私の“シベリア抑留”~「凍りの掌(て)」が描く戦争~」が放送されます。これは、高校生でデビューするも、その後ヒット作がなくアラフィフを迎えた女性漫画家が、父親が第2次世界大戦終戦後、4年にわたり体験した「シベリア抑留」について作品にしようと決意。悪戦苦闘しながらも、漫画を完成させていく日々を描いたドラマです。

主人公のモデルとなったのは、日本漫画家協会賞コミック部門大賞などを受賞した「凍りの掌」の著者・おざわゆきさん。その「凍りの掌」の漫画を番組の随所に織り交ぜながら進行するという、新感覚ドラマです。主役のおざわゆきには木村多江さん、父・昌一は古谷一行さん、ゆきを支える夫・博光に小手伸也さんを配し、漫画パートでは、人気声優の小野賢章さん、2.5次元俳優として注目されている黒羽麻璃央さんなどが声を担当します。

皆さんは「シベリア抑留」をご存じでしょうか。筆者は、恥ずかしながら今作品を見るまで全く知りませんでした。第2次世界大戦の終戦後、日本兵ら約60万人がソビエト連邦によってシベリアなどへ労働力として移送隔離。長期にわたる抑留生活と奴隷的強制労働により、約6万人が命を落としたという悲劇的な出来事です。

これだけ聞くとかなり重い、暗いイメージなのでドラマを見るのをためらってしまう方もいるかと思います。しかし、漫画が柔らかいタッチで描かれていることと、木村さんと小手さんの夫婦のシーンがとてもほっこりできる雰囲気になっているのでシリアスになりすぎず、うまく調和が取れています。いつもあくの強い役を演じることが多い小手さんが、穏やかな普通のキャラクターを演じているので、そこにも注目です!

そして、この作品の見どころは、何といってもタイトルにもある通り“ドラマと漫画のコラボレーション”です。木村さん扮するゆきが奮闘する現代は実写ドラマで描かれ、昌一が体験したシベリア抑留の話は漫画に声が吹き込まれ映像化。木村さんはおざわさんの仕事中の様子をビデオで研究して撮影に臨み、鉛筆で絵を描くシーンはご自身で描かれたとのこと。漫画パートについても実力派の声優さんがそろっているので、とても迫力があり、漫画でありながらアニメのようなリアルな動きがある感覚になります。

今回、俳優の黒羽さんは声優初挑戦。原作を読み込んで参加し、ロシア語を話す役ということで一生懸命に練習して、収録に臨んだとのこと。初めてとは思えない迫真のお芝居でした! 映像に黒羽さんは出ていませんが、黒羽さんファンの方もぜひご覧ください。彼の新たな魅力に気付けるはずです。

主演の木村さんは撮影前に「おざわゆきさんがお父さまへの取材を通じてシベリア抑留を体験していったように、私も演じながら怖くなったり、心が凍るような気持ちになったりして、シベリア抑留を体感していきたいと思っています。 そして、番組をご覧いただく皆さんにその温度をお届けできたらと考えています」とコメントしていますが、その通り、漫画パートでは胸が張り裂けそうなほど苦しく、筆者も涙が止まりませんでした。しかし、一方で前述の通り、ドラマパートで描かれる穏やかな日常が心を落ち着かせてくれて安心します。少しの救いで心が洗われると切に思いました。

戦争はなくさなければならない…でもこの事実を忘れてはいけないし、これからも伝えていくべきことだと思います。このドラマは戦争の悲惨さを知るには入りやすい、興味を持ちやすい内容になっています。戦争を知らない若者には、特に見てほしいドラマです。ぜひご覧ください。

【番組情報】


ドラマ×マンガ お父さんと私の“シベリア抑留”~「凍りの掌(て)」が描く戦争~
NHK BSプレミアム
8月10日 午後9:00~10:00

NHK担当 Y・T

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