五島初のフットサルチーム今春設立 「T.I.F.C. Valiente」   まずは1勝 「選手層広げ プロチーム目指す」 元地域おこし協力隊・峯田さん指導

自由な雰囲気の中で練習に取り組んでいるT.I.F.C.Valienteのメンバー

 五島市初のフットサルチーム「T.I.F.C.Valiente(ティー・アイ・エフ・シー・バリエンテ)」が、公式戦初勝利を目指して練習に打ち込んでいる。市の元地域おこし協力隊員、峯田光さん(26)がこの春に設立し、週2回指導。現メンバーは小学生17人だが、峯田さんは「中高生や社会人にも選手層を広げ、将来的にはプロチームを目指したい」と目標を掲げている。
 フットサルは、サッカーより狭い室内コート(20メートル×40メートル)を使い、5人対5人でプレーする。前後半各20分。素早いパス回しや足元の細かいボールさばきなどが魅力で、攻守も目まぐるしく入れ替わる。
 峯田さんは大阪府出身で数多くのJリーガーを輩出する興國高校(同府)サッカー部に所属。進学先のびわこ成蹊スポーツ大(滋賀県)でフットサルにのめり込み、U23の同県選抜選手として日本一も経験した。社会人チームでもプレーしたが、けがのため現役続行を断念し、五島市地域おこし協力隊に応募。2016年8月から3年間、市岐宿支所で民泊や体験観光の受け入れなどに携わり、退任後は漁師として働く。
 峯田さんは任期中、知り合いのプロ選手を招いて島の子どもたちに技術を伝える教室を開いたり、自らが市内の保育園や小学校を巡回して指導したりと、フットサルの普及に奔走。17年からは市立岐宿小の児童を集めて指導を始め、今年4月に正式にチームを立ち上げた。
 五島での普及を目指す背景には、児童生徒数の減少のため、サッカーに必要な1チーム11人(小学校は8人)を集めるのが難しい事情がある。市スポーツ振興課によると、現在市内で活動するサッカーチームは▽小学校2(福江、緑丘)▽中学校1(福江)▽高校2(五島、五島海陽)。福江地区以外の小中学校では、サッカーをしたくても他のスポーツを選ばざるを得ない現状だ。これに対し、5人制のフットサルはチーム編成が容易で、10人がそろえば試合もできる。
 加えて、峯田さんがフットサルの利点として挙げるのが、状況判断能力や技術力の向上。コートが狭く素早いパス回しなどが求められるためで、スペインやブラジルなどのサッカー強豪国では幼少期からフットサルが重視されるという。
 峯田さんのモットーは「自分の頭で考えるプレー」。パスやシュートの練習では、流れを一通り教えた後は細かく口を出さない。峯田さんは「最終的にはフットサルに打ち込みたい人が島外から移住したり、離島留学したりする島にしていきたい」と意気込む。
 チーム名のValienteはスペイン語で「勇敢な」の意味。練習拠点は岐宿町の岐宿B&G海洋センター。木曜午後5時~7時、土曜午前10時~正午に練習しており、見学は自由。本年度中に中学生チームも結成予定。フェイスブックページも開設している。

選手たちを指導する峯田さん=五島市岐宿町

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