各国大使らが献花 平和への決意 爆心地で新た

原爆落下中心地碑に献花する各国の駐日大使ら=長崎市、爆心地公園

 9日の平和祈念式典に参列する各国の駐日大使らが8日、長崎市松山町の爆心地公園で原爆落下中心地碑に献花し、犠牲者を追悼した。大使らは「過去を忘れてはいけない」「大量破壊兵器は許されない」などと語り、世界平和の実現に意欲を新たにしていた。
 エチオピアのカサ・ガブラヒウォット駐日全権大使は「広島と長崎を訪れて悲しい気持ちになった。大量破壊兵器は許されない」と訴えた。核兵器を巡る世界情勢について「現在は困難な部分もあるが、核兵器のない世界を日本と共に目指す。必要なのは世界の人々の協同だ」と語った。
 タイのバンサーン・ブンナーク特命全権大使は「原爆投下の悲劇は二度とあってはならないと教わった。被爆地で何が起きたのかを次世代に伝えるのが私たちの役割だ」と力説した。
 核兵器禁止条約を批准しているオーストリアのゲオルゲー・ヴィルヘルム・ガルホーファー公使は「条約は歴史的に重要な一歩であり、核廃絶の基礎になる」と評価。その上で「核なき世界を目指すには次の段階に進むことが必要だ」と条約の発効を求めた。
 同じく条約に批准しているニカラグアのロドリゴ・コロネル駐日特命全権大使は、条約の批准に日本政府が消極的なことについて「決めるのは政府ではなく、市民次第だ。日本国民がどうしたいかを決めなければならない」と活発な議論を提言した。この日は欧州連合(EU)を含め51カ国の大使らが献花した。

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