あれには嫉妬した
──2バンドの最初の共演はいつ頃になるんですか?
森野光晴(SAKANAMON/B.):2014年ですね。それこそ、この新宿ロフトでの2マンの1ヵ月前。群馬の高崎でLEGO BIG MORLとこの2組で3マンライブを行ったんです。それが最初でした。
飯田瑞規(cinema staff/Vo&G):あれは凄かった。俺らも若かったから(笑)、打ち上げで、辻がありのままの姿になって(笑)。そこに俺がタバスコをかけちゃったんです。それが凄く痛かったらしく。シャワー室でずっと股間を洗ってたもんね(笑)。
木村浩大(SAKANAMON/Dr):そこで俺が「大丈夫か?」って辻君に声をかけたら「瑞規(飯田)殺す!!」って(笑)。
藤森元生(SAKANAMON/Vo&G):それを目の当たりにしてたから次のライブで会うのが怖くて。「(今回はLEGOなしの)俺たちだけで、このモンスターを対処できるのか?」って(笑)。
──けっこう2バンドとも音楽性は違いますが、音楽的な第一印象はいかがでしたか?
久野洋平(cinema staff/Dr):その高崎の際に全く面識がなかったのに、自分たちの曲の中に俺たちの曲の一部を入れ込んできたんです。「何を断りもなく!まったく失礼な奴らだ!!」って(笑)。
三島想平(cinema staff/B):いや、それは冗談で(笑)。あれには、キチンと対バンをチェックしてくれているんだ…と感心したし、凄くありがたかった。それで距離がグッと縮んだし。
辻友貴(cinema staff/G):森野君が元々cinemaのことを知ってくれていたんだよね?
森野:俺ら同じ歳なんだけど、cinemaはデビューが全然早くて。先輩って感じが当時はちょっとあった。普通に客としてライブを観に行ったこともあったし。
辻:まずは東京カランコロンと友達になって。そこを通じて初めて知ったような。
三島:最初にドラマの曲(「花色の美少女」)で知って。「その曲がいい」って辻が教えてくれて。
──SAKANAMONはcinemaのどの曲が好きですか?
木村:僕はいつでも「望郷」を聴きたいですね。それこそ毎日でも聴きたい。
森野:俺はちょっと想い入れ入っちゃいますけど、「drama」が好きっすね。ツアーで呼んだ時の名古屋で初披露してくれて。
飯田:そうそう。俺たちの地元・岐阜での主催フェスに出てもらった時にフルコーラスでやってくれたよね。歌詞がむちゃくちゃ間違ってたけど(笑)。
藤森:僕は正直、2人より知るのが遅くて。初めてガツンときたのは「西南西の虹」でした。「歌が上手いなぁ…」って。
──逆にcinemaはSAKANAMONで好きな曲は?
辻:俺は「クダラナインサイド」ですね。あの曲は、cinemaのツアーで対バンをしてもらった際にギターで参加したことがあって。無理やりだけど(笑)。
久野:俺はちょっと通っぽさを出してみて「害虫」。SAKANAMONって実は3ピースで超絶で曲が難しかったりするんだけど、それを平然とやっちゃう。特にこの曲にそれを感じるんです。
三島:自分はSAKANAMONを家で聴く率が凄く高くて。そんな中、やられた~って感じたのは「SYULOVER」。この曲は女性ボーカルが入っていて。あとユーモアもある。僕、ユーモアを自然と楽曲に交えられる人って才能のある人だなと常々思っていて。僕らだとどうしても真面目っぽく映っちゃって。
飯田:特にこの「SYULOVER」はズルい。せんせい(東京カランコロン)とタカハシマイ(Czecho No Republic)さんをフィーチャリングしていて。藤森君をこの2人が取り合う。あれには嫉妬した(笑)。
これまで一緒にバンドをやってきて一番ケンカした日だ
──ちなみに5年前の新宿ロフトでの2マンライヴの際のことは何か記憶にありますか?
木村:打ち上げで飯田君と久野君がむっちゃ大ゲンカしていて。それで何もかももっていかれました(笑)。
飯田:想い出した。これまで一緒にバンドをやってきて一番ケンカした日だ。
久野:いやいやいや。一番ケンカしたと思っているのはお前だけだから。あとはお前が泥酔して覚えていないだけで、もっとそれ以上の酷いケンカは幾つもある(笑)。
──ライヴでは…?
木村:お互いの曲をカバーしたよね。cinemaが「空想イマイマシー」をカバーしてくれたんですが、それがむちゃくちゃクオリティが低かった(笑)。
飯田:パッと聞いて適当にやったからしょうがない(笑)。
森野:アンコールで三島君と藤森がゆずの「夏色」をやったよね。プロミスという即興のユニットを作って。さっきの高崎が最初で。2マンの時もプロミスさんが来て「夏色」を歌って盛り上げてくれた。
三島:プロミスさん。今年も来るかもしれないね、あいつら(笑)。
飯田:でも、元生(藤森)くんは歌が上手い。先日も一緒に他の友達も合わせて蒲田に餃子を食べに行って、勢いでカラオケにも行ったんだけど。どの歌をうたっても上手かった。
久野:そう言えば、前回は一緒にコラボグッズを作ったよね?
飯田:作った、作った。 Tシャツ。SAKANAMON君とcinamaの方は怪物くんで。2つキャラがコラボしたヤツ。
久野:今やあの怪物くんは絶滅しちゃったんで(笑)、また新しいキャラで今回の2マンライヴの際も何か作りたいよね。俺がSAKANAMON君を描くなんてのもありかも。
──是非!! ちなみに2バンドは普段の2マンでは、どのような気概で臨むんですか?
辻:SAKANAMONとやる時はただ楽しくやる。それだけで。一緒にいい空間を作る。で、お客さんに満足してもらい、お互いのバンドを好きになってもらう。それだけです。
三島:全力でやり、且つ楽しませる。でも、SAKANAMONに関してはあまりライバルって感じはしないですね。同じ目線でいるバンドだと思っているので。
森野:5年前は正直、同じ歳ながら格上って意識がありました。なので当時は「噛みついて行こう!!」って気概で。以降、何度も一緒にライブをやって来て、ここにきてようやく平等に2マンが出来るところまでこれたかなって。仲間意識もあるので、楽しくやりたいです。
木村:そうそう。一緒に出来るだけで嬉しい。
藤森:「またcinemaと2マンやって下さい!!」とのリクエストもあったので、今回ようやくそれが実現します。
「こりゃかなわない…」と思わせたい
──最後に今度の2マンに際しての意気込みをお聞かせ下さい。
久野:いくら仲良しでも負けたくないところはあるよね。対バンの時のセットリストは、お客さんもだけど、対バンに魅せたい楽曲を想い浮かべながら毎度作ってますから。嫉妬させたいや、「こりゃかなわない…」と思わせたい。なので当日のセットリストはお互い自信作になるでしょう。お楽しみに。
飯田:俺、「SYULOVER」を歌いたい!! 俺と三島が元貴くんを取り合うなんてどう?(笑)
森野:さっきの話からそれじゃ流れ的におかしいだろ?(笑) あんだけ「バチバチにやろうぜ!!」って言っときながら、そんなおっさんたちがわちゃわちゃした感じじゃ(笑)。
藤森:僕は「駆けっこ」で言う、勝ちか負けかを競うのが好きじゃなくて。お互い種目は別なので、両者が勝者になるのがいいなって。お互い良いところや特徴、武器を最大限に活かして、それをステージでブツけ合い、両者が共に優勝する。そんなライブをしたいですね。
写真:Mami Nito