【MLB】「僕は何も言ってない」…暴言の主を確認せず退場宣告の球審を“被害者”が猛批判

激怒するガードナーを必死に止めるブーン監督【写真:Getty Images】

退場の瞬間にはガードナー本人も驚きを隠せず、ブーン監督も「良くない判断だった」

■ブルージェイズ 8-2 ヤンキース(日本時間10日・トロント)

 ヤンキースのブレット・ガードナー外野手が、9日(日本時間10日)の敵地ブルージェイズ戦で何も言っていないのにダグアウトで退場処分になるという“悲劇”があった。球審が、判定に対する暴言の主を確認せず「ノールック」で退場を宣告。前代未聞の事態に本人も驚きを隠せず、猛抗議したが、判定は覆らなかった。大荒れの展開の後、ニューヨークの地元テレビ局「YESネットワーク」はガードナー本人、アーロン・ブーン監督が取材に応じる映像を公開。ガードナーは「彼は嘘をついた」と球審を痛烈に批判している。

 まさかの展開だった。ブルージェイズの3点リードで迎えた4回。2死で打席に立ったトークマンへの初球をクリス・セガール球審がストライクと判定。そして、セガール球審は直後にヤンキースベンチに向かって退場宣告を行った。

 アーロン・ブーン監督は自分の体を指しながらダグアウトを飛び出し、誰が退場になったかを聞いたが、キャプテンのガードナーが対象だったことが明らかに。ベンチに座っていたガードナーも自分が退場になったことを知ると驚きを隠せず、ダグアウトを飛び出して猛抗議。ブーン監督が必死に止めるほど激昂していたが、判定は変わらなかった。中継ではその後、トークマンがストライクを取られた瞬間のリプレーも流したが、ガードナーはダグアウトの天井をバットで突くような素ぶりを見せていたものの、暴言は吐いている様子は確認できなかった。

「YESネットワーク」では試合後に監督会見の様子を公開。ブーン監督は「いや、彼(審判)はダグアウトから何かが言われているのを聞き、誰かを退場処分としたんだ。良くない判断だったと思う。起きてしまったことは仕方がない。切り替えるしかない」とセガール球審の判定を批判し、ガードナーの反応については「彼は闘争心が強い。退場処分を受け、弁明しようとした。彼が興奮したのは理解できる。彼を抑えようとして、彼がどれほど力強いか分かったよ。ハハッ。彼は私より速くて、若くて、力強い」と振り返った。

ガードナー本人も怒り収まらず「僕に嘘をついた。これは大きな問題だ」

 一方、ガードナー本人は試合後も困惑気味。「自分が退場処分を受けたなんて分からなかった。自分が退場処分を受けたと聞き、審判のところに行った。僕は何も言っていない、間違えている、と伝えたよ。けど、彼は僕を見て、僕が何か言っているのを見たと言ったんだ。頭にきたよ。彼は嘘をついた。僕は何も言っていないからね。動画を見れば分かる。数分前にダグアウトの天井をバットで突いていたけど、それはルール違反ではないはずだ。かなりイライラする」と訴えた。

 さらに、セガール球審について「説明責任を果たさない。誰にも説明しなくていいんだろうね。僕を退場にし、それだけだ。理解できないよ。その時も、今でもだ。ただ間違っている」「僕は何も言っても、やってもいない。口を開いてすらいなかった。僕にとっては珍しいことだ。残念ながら、彼はレフトのブルペンの方を見て、僕に退場を宣告した。ただ決めつけたか、推測したんだ。そして、間違っていた。その後、僕に嘘をついた。これは大きな問題だ。だから、少し苛立ったよ」と猛批判している。

 チームリーダーとして、熱いプレーで超名門ヤンキースを牽引するガードナー。球審は、そのイメージからしっかりと確認せずに退場処分を宣告してしまったのか……。いずれにしても、ガードナーが口を開いていないという“証拠映像”が残っているだけに、さらに波紋は広がりそうだ。(Full-Count編集部)

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