【MLB】「日本人選手を尊敬している」―右腕バウアーの独占インタ公開、“鬼才”の素顔とは…

Full-Countの独占インタビューに応じたトレバー・バウアー

Full-Countの公式YouTubeチャンネルでインタビュー公開、ボールの握りも披露

 メジャーリーグでは例年、7月31日(日本時間1日)のトレード期限を前に大きな動きがある。今年、最大の驚きとなったのは、レッズ、インディアンス、パドレスの3チームによる大型トレードだ。主力選手では、トレバー・バウアー投手がインディアンスからレッズ、ヤシエル・プイグ外野手がレッズからインディアンスに移籍となった。Full-Countでは、インディアンス在籍時のバウアーに独占インタビューを敢行。その第1弾を公式YouTubeチャンネルで公開している。約11分間の映像で、バウアーはイチローら日本人選手への敬意について、日本の高校野球についてなどを語り、自身のボールの握りを披露。ときに不可解な行動が問題視されることもある右腕だが、インタビューからは誠実な人柄が滲み出ている。同僚からも愛される選手の一人だ。

 今月2日(同3日)、インディアンスのマイク・クレビンジャーが1年前に2打席連続本塁打を浴びたエンゼルスの大谷翔平と2度目の対決に挑み、2打数無安打1四球で前年の雪辱を果たした。好結果を導いた理由を問われると、サンプルが増えたデータを攻略の鍵としたことを明かした。

「バットをコンタクトさせる率が高いゾーンや、彼が得意とするゾーンなどがより多く数値化できている」

 2年連続2桁勝利を挙げて迎えた今季、クレビンジャーは背筋痛と右足首の捻挫で2度、負傷者リスト入りしたが、勝星を「7」に積み上げ、終盤に向けギアを上げている。

 大谷を封じたあの夜、終始笑顔で話していた右腕だったが、トレードで去っていった同僚投手について水を向けられると、トーンダウンした。

「球速が戻ったのはトレバーのおかげ。トレーニング法も含め、多くの勉強をさせてもらった。いや、僕だけじゃない。チームの投手たちの大きな力になってくれた。だからとても寂しい」

 トレバーとはもちろん、レッズに移籍したバウアーのことだ。100メートルを超える遠投や重いゴム製の大きなボールをフェンスにぶつける独特のトレーニング法で、大リーグ8年目の今季も肩・肘は故障知らず。2016年のプレーオフ期間中には趣味で操る小型無人機ドローンで右小指を負傷するアクシデントに見舞われ、インディアンスでの最終登板となった今年7月28日(同29日)の試合では、5回途中8失点の乱調から降板時にはボールをバックスクリーンに投げ込むなど、不可解な行動も見せる。しかし、舞台裏でのバウアーはいたってノーマル。同僚選手たちからの信頼は厚く、報道陣には常に紳士的な態度で接している。

 日本野球の精神性に魅かれるというバウアーは、独占インタビューの中で「僕が日本人選手に興味を持っているのはグラウンドでの活躍だけでなく、人としてとても困難なことをやっていると思うからなんだ。母国を離れ、何もかも全く異なる中で何百万人もの期待を背負ってプレーしている。だからとても尊敬しているんだ」と明かしている。他者への敬意を常に忘れない28歳の“鬼才”の本当の姿とは……。インタビュー3部作では、バウアーの素顔に迫っている。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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