阪神は最下位、巨人は独走!? 「得失点差」で見るセ・リーグ、実際の順位との差は…

阪神・矢野監督【写真:荒川祐史】

“大赤字”の阪神が実際には4位 巨人は本来なら抜け出している?

 MLBでは「ピタゴラス勝率」という指標が、チーム評価でしばしば用いられる。チームの得失点に応じて勝利数を配分する指標で、これによって各チームがどれだけ有効に得点しているかが見えてくる。

「ピタゴラス勝率」という名は数式「(得点の2乗)÷((得点の2乗)+(失点の2乗))」が、「ピタゴラスの定理」に似ていることからつけられた。

 ピタゴラス勝率で、8月10日時点のセ・リーグの状況を見ていく。

 各球団の得失点

巨人 497得点423失点/差74
DeNA 445得点415失点/差30
広島 452得点426失点/差26
阪神 390得点454失点/差-64
中日 398得点422失点/差-24
ヤクルト 473得点542失点/差-69

 セは交流戦で負け越しているので、トータルの得失点差でもマイナスになっている。

 巨人、DeNA、広島の上位3球団が順当に「黒字」になっているが、注目すべきは阪神だ。ヤクルトに次ぐ大幅な「赤字」になっている。この「赤字」がそのまま勝敗に反映されるとすれば、阪神はヤクルトと最下位争いをしていることになる。

ラミレス監督が就任後は競り合いに強いDeNA

 実際の順位表

1 巨人 103試56勝45敗2分 率.554 差–
2 DeNA 106試56勝47敗3分 率.544 差1.0
3 広島 107試55勝49敗3分 率.529 差2.5
4 阪神 106試48勝53敗5分 率.475 差8.0
5 中日 104試46勝57敗1分 率.447 差11.0
6 ヤクルト 106試41勝63敗2分 率.394 差16.5

 3強3弱の様相ではある。阪神は広島と5.5ゲーム差があるが、まだポストシーズンを狙える位置にいる。

 ピタゴラス勝率での順位表

1 巨人 103試59勝42敗2分 率.580 差–
2 DeNA 104試55勝48敗1分 率.535 差5.0
3 広島 107試55勝49敗3分 率.530 差5.5
4 中日 106試48勝55敗3分 率.471 差12.0
5 ヤクルト 106試45勝59敗2分 率.432 差15.5
6 阪神 106試43勝58敗5分 率.425 差16.0

 阪神は得失点差では下から2番目。しかし、得点、失点ともに、得失点差で最下位のヤクルトよりかなり少ないため、赤字が得失点差に占める比率が大きくなり、ピタゴラス勝率に換算すると最下位になる。実際の4位という位置は、よく踏ん張っているといえる。阪神はジョンソン、藤川ら救援陣が健闘しているのが大きい。もちろん、ここからさらに奮起しないとポストシーズン進出はないが。

 巨人とDeNAは実際には1ゲーム差だが、ピタゴラス勝率では5ゲーム差になる。巨人が得失点差ほどには勝っていないということだ。阪神とは対照的に、救援投手に難がある。

 広島は実際の勝率とピタゴラス勝率がぴったり一致する。アレックス・ラミレス監督になってからDeNAは例年、競り合いに強い。8月10日も逆転サヨナラ勝利だった。今季はどこまで粘るだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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