引き揚げ死没者 地域で供養 佐世保・浦頭検疫所跡

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供養塔の前で手を合わせる参列者ら=佐世保市、浦頭検疫所跡

 戦後の引き揚げで命を落とした人々の慰霊祭が11日、長崎県佐世保市針尾北町の浦頭検疫所跡であり、地域住民約20人が故郷の地を踏めずに亡くなった人々を悼んだ。
 浦頭港では戦後、約140万人が引き揚げてきた。約3800人は船内や検疫中に伝染病や栄養失調で亡くなり、多くの人が検疫所の敷地内で火葬された。
 検疫所跡では約30年前から、幼いころから近くに住み火葬の様子を目にした森川普(すすむ)さん(83)が地蔵菩薩を設置。お盆などに供養を続けてきた。慰霊祭は、森川さんの活動を地域で引き継ぐために、7月に供養塔が完成したことに合わせ、針尾地区自治協議会(冨川安憲会長)が初めて開いた。
 僧侶の読経の後、参列者は供養塔と地蔵菩薩に線香を上げ、静かに手を合わせた。冨川会長は「この場所を中心に森川さんの思いを守り続けたい」とあいさつ。森川さんは「皆さんと一緒に供養ができてうれしい。ここでだびに付された人も喜んでいると思う」と声を詰まらせた。