【甲子園】東海らしさ全開 機転利かせ全力尽くす

4回、2死三塁のピンチを切り抜けガッツポーズする遠藤=甲子園

 第101回全国高校野球選手権大会第6日は11日、甲子園球場で2回戦4試合が行われ、東海大相模のほか、作新学院(栃木)、中京学院大中京(岐阜)、明石商(兵庫)が3回戦に進出した。

 東海大相模は右腕遠藤成が八回途中1失点の好投。打線も敵失に乗じて小刻みに得点を加え、昨夏ベスト8の近江(滋賀)を6-1で下した。

 東海大相模は大会第10日の15日、第2試合(午前10時半開始)で、中京学院大中京と準々決勝進出を懸けて激突する。

遠藤 7回1/31失点の好投

 鋭く落ちたフォークボールにバットが空を切った。初回を三者凡退で片付けた東海大相模の右腕遠藤がマウンドで高らかに雄たけびを上げ、ショーは幕を開けた。

 4万4千の観衆が押し寄せた聖地の真っさらなマウンドに背番号6が映えた。神奈川大会の登板はわずか4回2/3。甲子園から背番号1を明け渡したが「番号は関係ない。マウンドに上がった投手がエース」と割り切った。

 力を尽くし、機転も利かせた。自己最速タイの145キロをマークした速球、フォーク、スライダーで近江打線を手玉に取り、「テンポの速さ」で考える時間を奪った。捕手井上から返球を受けて即座に投球動作に入れるのは、バッテリーの意思疎通があってこそ。三回まで散発2安打。四回から八回1死までは無安打に抑えた。

 女房役は「いつもより何倍もペースアップしました」と打ち明ける。まじめ一徹な右腕は、滋賀大会の近江打線をまとめた映像を試合までに6回も見直したという。「あいつは考えすぎると打たれる」。見かねた長谷川将也部長(30)は試合前、「配球は井上の仕事。とにかくテンポ良く投げさせろ」と役割を明確に分担させていた。

 打っては2安打、走っては二盗も決めた。野球の三大要素で目いっぱいに暴れても、名門の“エース”は満足しない。「どれも全力を尽くすのは当たり前だし、投球は70点。無駄な四球があった。コーナーにうまく投げていた相手を見習わないと」とむしろを気を引き締めた。 

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