燃える龍が夜空染める 夏の伝統行事、清川村を練り歩く

火柱を上げながら燃え盛る青龍祭の龍=清川村煤ケ谷

清川村の夏を彩る伝統行事の「青龍(せいりゅう)祭」が10日、煤ケ谷地区で行われた。日中は竹やわらで作られた長さ約16メートルの雌雄の龍を村の小中学生や関係者が引いて練り歩き、日が沈むと龍に火がともされ、火柱が夜空を赤く照らした。

 青龍祭は実行委員会と同村、村教育委員会の共催。同地区で江戸時代に行われていた竹で編んだ夫婦の龍を作る雨乞いの行事にちなむ。1929年を最後に途絶えたが、86年に児童らの地域学習を機に龍が復元されたのをきっかけとして現在の形で継承され、村を挙げての夏の一大行事となっている。

 この日、村の発展などを祈願する「入魂式」が村立緑小学校(同村煤ケ谷)の校庭で行われ、同地区を練り歩くパレードを開催。夕方からの本祭は村運動公園(同)に会場を移し、地域の人たちが龍を担いで回る儀式を執り行った後、「昇龍の儀」として龍に火がつけられた。来場者らは燃え盛る龍を見守りながら、同時に上がった打ち上げ花火も楽しんだ。

 実行委の構成団体の一つ、青龍保存会の石川政男さん(92)=同村煤ケ谷=は「今年も多くの人が村の内外から訪れ、立派な龍の昇天ができた」と笑顔。村内に住む小学6年の久保琴葉さん(11)は「(祭りをしたので)雨がこれから降って村の野菜がたくさん育てばいいと思った」と話した。

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