住野よる 『よるのばけもの』- 生きていく中で誰もが直面すること

生きていく中で誰もが直面すること

2017年に映画化された『君の膵臓をたべたい』の著者、住野よるさんの三作目。この作品が文庫化されたのを機に再読。

あなたは、周囲の空気に合わせ、自分の気持ちを心の奥底に押し込めた経験はないだろうか。この小説のテーマは“学校内でのいじめ”。いじめられているクラスメイトとの“夜休み”を通じて主人公の葛藤が描かれている。本当の自分とは何なのか…。他人の顔色をうかがいながら生活する自分? それとも自分らしさを大切にする自分? どちらも自分自身であり、どちらを選ぶにも正解はない。みんな正解を探りながら選択を繰り返しているのだろう。これは学校生活だけの話ではなく、生きていく中で誰もが直面すること。

この作品では、さまざまな性格のクラスメイトが登場する。その一人一人の目線に立ち、何度も読み返したくなる物語だ。(ROCK CAFE LOFT:鈴木琴水)

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