窓口に通訳機次々 県内4市町、増える外国人材に対応

■「便利」「サービス向上」 付き添い同行 活躍まだ

 外国人材の受け入れを拡大する国の新たな制度が始まり、県内自治体が市民窓口に通訳機を導入する動きが出てきた。県内には1月1日時点で1万8千人を超える外国人が暮らす。通訳機が活躍する場面はまだ多くないものの、既に導入している自治体の職員からは「とても便利」「窓口サービスの向上につながる」などの声が聞かれた。

 通訳機は、人工知能(AI)を使い、多言語を翻訳してくれるものが主流。機器に向かって日本語で話すと、指定の言語に翻訳された音声が流れる。県内では駅や観光施設などが取り入れており、自治体では2018年度から導入が進んでいる。

 「日本語では伝わらないことも多く、とても助かっている」。4月に窓口に通訳機を配備した入善町住民環境課の佐道亜紀歩主事が語る。

 役場の窓口では、戸籍関係の手続きをはじめ日本語でも難しいやり取りも必要になる。通訳機を用いることで、相手の母国語で説明できるようになり、スムーズな対応が可能になった。「『伝わってないな』と思った時に手軽に使うことができるのもいい」と言う。

 18年度に導入したのはこのほか富山市、19年度には高岡、砺波の2市と入善町が導入した。砺波市は専用機器ではなく、聴覚障がい者支援用のタブレット端末に通訳アプリも入れて活用している。

 これまで自治体の窓口を訪れるのは技能実習生が多かった。実習生には、受け入れ企業や仲介団体の担当者が付き添っていることが多く、意思疎通に困ることは少なかった。ただ、4月に入管難民法が改正され、外国人住民の増加が見込まれるため、自治体は対応を迫られることになる。

 導入済みの4市町以外では、射水、氷見の2市が検討中という。黒部市の担当者は「必要性を認識している」、南砺市の担当者は「庁舎再編後に検討したい」とした。(政治部・柵高浩) 

■外国人登録 初の1万8000人超  県内の外国人登録している住民数は2008年度の1万5534人をピークに減少傾向となっていたが、15年度に増加に転じた。

 今年1月1日時点では1万8262人で、前年より1625人(9.77%)増加。初めて1万8千人を超えた。在留資格でみると、技能実習が全体の32.33%で最も多い。

 県の総人口に占める外国人の割合は0.16ポイント増の1.72%。最多は中国の5001人、次いでベトナムが4062人で、両国で全体のほぼ半分を占めた。

 4月の法改正で新たな在留資格「特定技能」が創設され、今後は大幅な増加が予想される。県は6月、とやま国際センター(富山市牛島新町)内に「外国人ワンストップ相談センター」を新設し、通訳機5台などを配備。多言語で相談に応じ、外国人住民のための生活支援を強化している。

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